2017年6月

共創空間

AIとの競争には勝てない

『隷属なき道』(続)

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第8章 AIとの競争には勝てない まとめ

・(コンピューター)チップと箱(コンテナ)の出現が世界を縮小し、品物やサービスや資金がかかっていないスピードで世界を回るようになった。

・そして不用と思われた労働対資本の比率が崩壊した。国民所得の⅔が労働者の給与になるという状態から、現在の先進工業国では国の富みのうち58%しか給与として労働者に支払われていない。世界が小さくなり、「勝者が一人勝ちする社会」が」やってきた。

・さらにオックスフォード大学の学者は、20年以内に米国人の仕事の47%以上とヨーロッパ人の仕事の54%が機会に奪われる危険性が高い、と予測する。 >> 続きを読む

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 優秀な人間が、銀行家ではなく研究者を選べば

『隷属なき道』(続)

第7章 優秀な人間が、銀行家ではなく研究者を選べば まとめ

 ・農業や工業の効率が上がるにつれて、経済に占める割合が縮小。サービス産業に多くの仕事を生み出した。ますます多くの人が有形の価値を生み出さないまま金を儲けるシステムができ上がった。

・そこには「くだらない仕事」をする余地も生れた。そして管理職が多い国ほど、生産性と確信性が低いことが分かっている。ハーバード・ビジネス・レビューが1万2000人の専門職の人を対象に行った調査では半数が、自分の仕事は「意味も重要性も」ないと感じ、同じく半数が、自らの会社の氏名に共感していなかった。 >> 続きを読む

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ケインズが予測した週15時間労働の時代

『隷属なき道』(続)

第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代 まとめ

 ・1930年、経済学者ケインズは「2030年には人々の労働時間は週15時間になる。21世紀の最大の課題は増えすぎた余暇だ」と予言した。

・19世紀半ばから労働時間の短縮が始まる。1855年、オーストラリアのメルボルンの石屋が、他に先駆けて、一日8時間労働を保証した。19世紀末には、一部の国の労働時間はすでに週60時間に下がっていた。

・フォード・モーター・カンパニーを起こし、T型フォードを開発したヘンリー・フォードは1926年、市場初めて週5日労働を実施した。

・第2次世界大戦後も余暇は着実に増え続けたが、1980年代、労働時間の減少傾向が止まる。アメリカでは、むしろ労働時間が増えはじめた。個人の労働時間に減少が見られた国々でも、家族単位では、ますます時間に追われるようになっていた。 >> 続きを読む

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GDPの大いなる詐術

『隷属なき道』(続)

 

 第5章 GDPの大いなる詐術 まとめ

 ・GDPは進歩の計算も苦手だ。コンピューター、カメラ、電話は洗練されたが数字には反映されない。さらに、無料の製品となると、経済の首相という評価をもたらしかねない。例えば、Skypeのような無料電話サービスは、通信企業の収益を大幅に損なっている。加速度的な進化にも関わらず、情報部門がGDPに占める割合はインターネットがまだ普及していなかった25年前から変わっていない。

・1932年、不況の底にあった米国は優秀な若いロシア人教授、サイモン・クズネックを雇い、米国はどれくらい多くのモノを生産することができるか、というシンプルな問いの答えを探させた。クズネッツは数年かけて、後にGDPとなるものの基礎を築く。その貢献によりクズネッツは1971年にノーベル経済学賞を受賞する。

・GDPは戦時における国力の優れた指標であった。 >> 続きを読む

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 ニクソンの大いなる撤退

『隷属なき道』(続)

 

第4章 ニクソンの大いなる撤退

・ニクソンは1969年には、すべての貧困家庭に収入を保護する法律を成立させようとしていた。例えば家庭には、1600ドル(2016年の貨幣化に換算すると訳1万ドル)」の収入を保証するものだった。

・しかし計画公表の日に、一部の保守派から150年前の英国スピームランド制度の報告書が大統領に手渡された。ベーシックインカムを受給する失業者に労働省に登録する義務を課した。しかし貧困を撲滅すると同時に失業者の怠惰さと戦うというニクソンのトリックは「貧困層は怠け者」という通説を印象付けることになった。

・18世紀末に実施されたスピームランド制度は「勤勉ながら貧しい男性とその家族」の所得を最低限の生活ができる水準まで補填するものだった。しかし1834年英国の王立委員会はスピームランド制度について「大失敗だった」と結論付け、人口の激増や賃金カット、不道徳な行為を招き、労働者階級が劣化したと非難した。 >> 続きを読む

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貧困は故人のIQを13ポイントも低下させる 

『隷属なき道』(続)

  • 第3章 貧困は故人のIQを13ポイントも低下させる まとめ

 

・「欠乏亡き心理」がもたらす悪影響は、そのメリットをしのぐ。欠乏はあなたの気持ちを、差し      迫った不足に集中させる。5分後に始まる打ち合わせ、翌日に迫った支払いなど、そこでは長期的な視野は完全に失われる。

・新型コンピューターに、10の重いプログラムを並行処理させることを創造してみよう。動きはだんだん遅くなり、エラーが発生し、遂にはフリーズしてしまう。貧しい人々の状況もそれによく似ている、彼らが愚かな判断をするのは、愚かだからではない。愚かな判断に追い込まれる環境で暮らしているからだ。

・実際に貧困による影響はIQが13から14ポイント下がるのに相当した。 >> 続きを読む

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 福祉はいらない、直接お金を与えればいい 

『隷属なき道』(続)

第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい まとめ 

世界各地で行われた研究により、確たる証拠が示されている。フリーマネー(自由になるお金)は機能する。既に研究によって、フリーマネーの支給が犯罪、小児死亡率、栄養失調、10代の妊婦、無断欠席の減少につながり、学校の成績の向上、経済成長、男女平等の改善をもたらすことがわかっている。

ブラジルからインドまで、メイキシコから南アフリカまで、2010年にはすでに、45か国の1億1000万を超える家庭に現金が届けられている。

貧しい人々はお金を無駄にしない。フリーマネーは、当事者が自分にとって必要なものを買うために使える。世界銀行が行った大規模な研究によると、フリーマネーの全事例の82%でアルコールとタバコの消費量は減少した。

トマス・モアが『ユートピア』の中で夢想したベーシックインカム。右派から左派まで、新自由主義者を牽引したハイエクやフリードマンも支持した。月々の手当は生活するには十分で、もらったからと言って何かをする必要はない。給付の唯一の条件は生きているということだけだ。 >> 続きを読む