感情は価値観の虜(とりこ)

 

目次

「感情は価値観の虜」とは

感情のトリガーは価値観

感情のトリガーを特定する方法

まとめ

先回、感情と価値観について少し触れましたが、このテーマは得に重要と考え、今回さらに掘り下げて詳細を記したいと思います。

「感情は価値観の虜」とは

「感情は価値観の虜」というのは、人は自分の価値観に基づいて感情を抱くということです。価値観とは、自分が何を大切にしているか、何が正しいか、何が良いかという信念なので物事の判断の基準となります。価値観は生まれ育った環境や経験によって形成されます。
特に不満やイライラといった怒りは自己の無自覚(無意識)の価値観や相手の価値観を知るチャンスです。

充実した人生を生きるための5つの自己

自分の価値観、信念、強み、弱みを認識し、自分自身を受け入れる「自己認識」

自分を認識することができたら、自分の意志を周りに伝える「自己開示」

自分の生きざまをより強く訴えかけたり行動で示すことが「自己表現」

自分が思い描いている欲求を実現させるのが「自己実現」

自分にはできるんだと自信を持っている状態が「自己効力感」

 

自分を理解し、周囲に対して心を開き、自分の価値観や信念に沿って行動し、物事を達成していく、その結果自信が得られるという流れです。1

「現状の自分」と「ビジョン(ありたい姿)」の間にあるギャップ(=感情の源)を知る必要があり、それが自覚(意識できる)または無自覚(無意識)な価値観なのです。

感情は価値観に影響されるだけでなく、価値観も感情に影響されます。
感情は過去の経験から味わった感覚の記憶です。
人はポジティブな感情を結びつけた価値観を好み、ネガティブな感情を結びつけた価値観を嫌います。

多くの人が新たな学習や新たな挑戦に二の足を踏みがちなのは、過去の経験と違うこと、また、未知で予測できない世界に入っていくことが不安だから。

人が思考し、何らかの行動を選択している背景には、必ず「感情」が存在している。

アインシュタインは「問題を創り出したときと同じ考え方では、その問題を解決することはできない」という名言を残した。 2

 

感情は価値観と連動して、人の行動や判断にも影響を与えます。人は自分の価値観に沿った行動や判断をすることで、自尊心や自信を高めたり、幸せや安心を感じたりします。

逆に、自分の価値観に反した行動や判断をすることで、葛藤やストレスを感じたり、不満や怒りを抱いたりします。

快・不快の感情を伴った情報は、生命を維持していくために必要な情報として記憶されやすいという特徴があります。

このことからも分かるように、感情は素早く行動を起こすためのスイッチという側面があります。
「人間は論理的思考ではなく、感情で動いている」とは、ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラー教授の言葉です。

生物の進化の歴史から見ても、感情は意思決定に重要な要素です。

人は論理的に考えて一番合理的な判断を下すのではなく、感情的に決めたがることの方が多いのだということを知るべきでしょう。
引用: (powerweb.co.jp)

システム1の判断は、直感的、感情的

システム2は論理的な思考

3

感情は価値観から新しい世界を創造することもできます。

人は自分の価値観に基づいて、現状と理想のギャップを埋めるために、学習や成長や変化へのモチベーションを持ちます。

人は自分の価値観に基づいて、新しい問題の解決や新しい価値の創造に挑戦します。4

詳細情報

1: 怒りは価値観を知るチャンス|急激な感情の変化を捉えて言語 …
怒りは価値観を知るチャンス|急激な感情の変化を捉えて言語化する。本当?でより深く(押し付けはNG) | Proぐらし(プロぐらし life) (prograshi.com)
2: 価値観と感情は連動し、 感情から新世界は創造される | Shushi …

価値観と感情は連動し、 感情から新世界は創造される | Shushi Kato Official Blog
3: 買うかどうかの一番の決め手は「好き・嫌い」 人はなぜ「感情 …

買うかどうかの一番の決め手は「好き・嫌い」 人はなぜ「感情」で決めたがるのか? – マーケティングブログ | パワー・インタラクティブ (powerweb.co.jp)
4: 価値観の違いを乗り越えるための20個の方法。パターン別に解説 …
価値観の違いを乗り越えるための20個の方法。パターン別に解説します | CoCoSiA(ココシア) (seikatsu-hyakka.com)

 

感情のトリガーは価値観

このように人の行動は感情によって誘発され、その背景には価値観が君臨していることが解りました。感情のトリガーとは、人の心を動かすきっかけや引き金となるものです。

感情のトリガーとなる主な価値観

愛情とつながり:
愛情や人間関係は、多くの人にとって感情のトリガーとなります。愛情を感じることや他人との深いつながりを持つことは、喜びや幸福感を生み出すことがあります。

逆に愛情を受けたい人から受けられないとき、深く傷ついたり、苦しみから脱することができない場合がります。

自己実現:
自分自身を成長させ、目標を達成することは、多くの人にとって喜びや充実感をもたらします。自己実現の価値観は、達成感や自尊心を高めることがあります。
自己実現は自らの選択なので、達成や成就が難しい場合でも、自己の満足感はそれなりに得られるでしょう。その結果、諦めるか、再挑戦に挑むかで新たな満足感を追求できまることもあります。

知識と学習:
知識の獲得や学び続けることが、満足感や好奇心を刺激することがあります。自己啓発や学びを重視する人々は、知的な満足感を感じることがあります。

知識と学習においても自己の選択によるもので、「できない」と嘆いても、それを続けるか止めるかも自己選択の範疇で、そのために苦しみから逃れられないほど悩むことは少ないでしょう。

正義と公平:
社会的な価値観として、正義や公平さを重要視する人々は、不正義や不公平な状況に対する怒りや悲しみを感じることがあります。逆に、公平な状況に対しては幸福感を感じることがあります。

先回でも触れたように、この価値観は一番人間を怒りや悲しみに導く価値観ではないかと考えます。理由は、誰かの正義が万人の正義とは限らないことにあります。

ロシアの正義からウクライナへの侵攻が始まりましたが、世界の多くの国々がその正義を正義とは受け止めていません。そうなると戦争は長期化するばかりです。かといってロシアの正義を認めるわけにはいかないウクライナを始めとする欧米の国々・・・・・

また。ハマス・イスラエルも同様に、一方の正義が他方の正義にはなり得ないための戦争です。

公平の価値観においても、人類すべてが格差のない公平な社会に住むことは、現時点では大変困難であり、むしろ多様性を受け入れることの方が現実的と言えます。

ところが、日本人は特に「正解」にこだわる文化が浸透しています。これは学校教育の「一つの正解」を教える教育文化によるものかもしれません。

それは「正しい?」「間違い?」。自分は「正しい?」「間違い?」

あなたは「間違っているのでは?」と。

どこまでも「何が正しいのか?」と正解を追い求める価値観の上で出来上がった思考回路、ついつい批判的になり、怒りや嫌悪を生む原因となっていると思われます。

このような文化的価値観においては、多様性という価値観への理解も簡単ではありません。それは「感情が許さない」という部分から起きていることは明白です。

価値観はこうして感情を支配していることがよくわかります。

 

自己表現と芸術:
芸術や表現活動を重視する人々は、自分自身を表現し、創造的な活動に従事することで、感情を豊かにすることがあります。
自己表現を楽しみ、充実感を味わうことは間違いありません。
しかし、自己表現を他者の称賛を目的にした場合、ジャンルによって異なる印象を持ちます。人々の好き嫌いに反応しやすい人にとっては、自己表現が逆にストレスや苦しみを生み出す要素になることもあるでしょう。

実はこれも「良い」「悪い」という価値観にひきずられて起ることです。

安全と安定:
安全や安定を重要視する人々は、不安定な状況や危険から逃れることによって安心感や幸福感を感じることがあります。
但し、安全・安定にあまりにも執着する価値観では、日々の生活のなかで、「不安」を増長させやすく、「不安」の解消のために多くのネルギーを費やすことになるでしょう。また、そういった生活スタイルが習慣となり、常に不安や心配と戦うという、あまり豊とは言えない人生を創造することになる可能性もあり得ます

自己認識と精神的成長:
自己認識や精神的な成長を重視する人々は、自己啓発や内面の平和を追求し、これらの要素によって感情が影響を受けることがあります。

重要感・特別感:
自分が大切にされていると感じたり、他人と違うと思ったりすることで、自尊心や自信が高まります1。https://dentsu-ho.com/articles/5523

認められたい:
自分の能力や存在を他人に評価してもらいたいという欲求です。承認欲求とも呼ばれます2。https://success-fun.com/sinri-trigger/

興味・好奇心:
新しいことや知らないことに対して、知りたいと思ったり、試してみたいと思ったりすることで、学習や探究心が刺激されます1。https://dentsu-ho.com/articles/5523

悩みと欲求:
自分の問題や不満を解決したいと思ったり、自分の望むものを手に入れたいと思ったりすることで、行動や変化へのモチベーションが高まります1。https://dentsu-ho.com/articles/5523

与えること:
他人に何かを提供したり、貢献したりすることで、自分の価値や意義を感じたり、相手から感謝されたりします。返報性の原理とも関係します13。https://dentsu-ho.com/articles/5523   https://www.manakablog.com/trigger-and-anchor/

みんなと一緒:
自分が所属する集団やコミュニティに対して、一体感や帰属感を持ったり、同調したりします。集団心理や社会的証明とも関係します14。https://dentsu-ho.com/articles/5523

本音と建て前:
自分の内面的な思いや感情(本音)と、他人に見せる表面的な態度や言動(建て前)の間で、葛藤やストレスを感じたり、調整したりします。

損得勘定:
自分にとって有利か不利かを判断したり、コストとリターンを比較したりすることで、合理的な選択や判断をしようとします1。思わずシェアしたくなる“感情トリガー”、設計できてる? | ウェブ電通報 (dentsu-ho.com)

 

感情のトリガーは、自分の価値観や信念に基づいて発動します。

例えば、「正義感」は一つの価値観です。正義感が強い人は、「不正や不公平なことに対して怒る」「正しいことを主張する」「弱者を助ける」というような行動を取る可能性が高くなります。これらの行動は、「正義感」が感情のトリガーになっていることを示しています。

詳細情報:

1 https://dentsu-ho.com/articles/5523
2.https://success-fun.com/sinri-trigger/
3.https://www.manakablog.com/trigger-and-anchor/
4.https://dentsu-ho.com/articles/5523

感情のトリガーは、自分の行動や感情に影響を与えるだけでなく、他人の行動や感情にも影響を与えます。相手の感情のトリガーを理解することで、コミュニケーションや関係性を改善したり、説得力や影響力を高めたりすることができます。

感情のトリガーを特定する方法

自分の感情や行動に気づく:
自分がどんな感情を抱いているか、どんな行動をしているかに注意を向けます。その際に、「何がきっかけだったか」「どんな価値観に基づいているか」「どんな目的や意図があるか」などを問いかけます。

他人の感情や行動に気づく:
相手がどんな感情を抱いているか、どんな行動をしているかに注意を向けます。その際に、「何がきっかけだったか」「どんな価値観に基づいているか」「どんな目的や意図があるか」などを問いかけます。

フィードバックを求める:
自分や相手の感情や行動について、第三者の視点からフィードバックをもらいます。その際に、「どんな感情のトリガーがあったと思うか」「どういう効果や影響があったと思うか」「どう改善できると思うか」などを聞きます。

感情のトリガーを記録する:
自分や相手の感情や行動に関するデータを記録します。その際に、「何が起こったか」「どんな感情があったか」「どんな行動をしたか」「どんな結果になったか」などを書きます。

感情のトリガーを分析する:
記録したデータをもとに、自分や相手の感情のトリガーを分析します。その際に、「パターンはあるか」「強みや弱みは何か」「改善策は何か」などを考えます。

 

まとめ

「怒り」を覚えたらチャンス!

“脚下照顧”自分の本性をよく見つめよ!ですね。

自分を知るために、自己と他者を観察。
自分にとって歓迎しないネガティブな感情は自分を知るためのサイン。

そう考えると、ネガティブ感情(辛味、苦味、渋味)も学びのための調味料に早変わり!

よく味わって自己の栄養にしようではありませんか。

そうそう、「辛い」という字の上に「一」を加える「幸せ」と変化します。
ほんの一つの変化(学びかもしれません)が、自己の大きな成長につながることを忘れないように、未来に向かって顔を上げて進んで行きたいと思います。

 

 

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