2020年10月

『快三昧に生きる』 【21】

2020.10.26

日常の行動から無意識の癖を見つける

無意識に刻まれた行動の基準となる癖は、外界の刺激に対して反射的に「私」を動かします。
ぼーっとしていても、頭の天辺から、指先まで、眼も、耳も、素早く反射的に活動すると同時に、身体中のネットワークは瞬時に関連しあって、日常の何気ないしぐさ、言動などをコントロールしているということを「受動意識仮説」によって確認することができました。

他者の本質や、本音も、そのような反射的行動を観れば、そこにすべてが表現されているというのが、私の他者判断の基準になっています。そのため、日頃から、行動を観察することを重視し、それが習慣となっています。

そんな時、言行が不一致の人を時々見かけます。
そんな人は、理想的な自己のイメージがあるのでしょう。そのイメージに沿った自己を表現しようとするのですが、どこかで辻褄があわなくなったり、行動が伴わなかったりしてすぐにバレてしまうのです。本人はそれを気づかず、本質以上の自己を演じ続けるのが癖になっています。

自分を盛った言葉によって、その通りの自分を相手は認識していると思い込んでいます。と言うよりも、自分自身で自己の本質以上の自己に酔い、酔ったまま発する言葉で快感を得ているように見えます。(子供のヒーローごっこと同様の性質かもしれません)

一例:「タバコなんか止めようと思えば、いつでも止められる。この1本で止める」と言った数分後には無意識にタバコに手が伸び、隠れ吸ってから、「タバコをきっぱりやめた」と言い切ったその口からタバコの臭いを発している。などということは多々経験するのではないでしょうか。
こういった例は枚挙にいとまなく、見せる自分、見せられない自分を使い分けている人は多いはずです。

見せる自分とは、理想の自分。
見せない自分とは、後ろめたい自分です。 >> 続きを読む

『快三昧に生きる』 【20】

2020.10.17

無意識が意識を操る「受動意識仮説」

無意識に刻み込まれた「思い込み」「信じ込み」。
私の場合は「運命」という根拠の解らない怪物の囚人となって、大きな力に操られ、「運命」のレールに乗ったまま、操り人形の人生を歩む中、生命まで危うくしてしまう、という偏向の半生を生きてきました。
「運命」には逆らえない、家族もすべて「運命」によって与えられたもの。それを拒否することなどできるはずはない。世の中すべてが「運命」によって決められ、どんなに苦しくても「運命」の決めたレール上を、苦痛に耐えて歩いていくしかない。この世は修行の場、苦の娑婆、それが自分に与えられた人生なのだから。

今、思い返すだけでも心は真っ暗闇の中に吸い込まれて行きそうです。
これでは生きる悦びなど微塵もなく、死んだ方がましという考えが湧き上がるのも極々自然のことです。

2020年に入ってから、芸能人の自殺が目立っています。

三浦春馬さん(30歳)、芹名星さん(36歳)、藤木孝さん(80歳)、竹内結子さん(40歳)と、有能な惜しい人材を失うことになり残念でなりません。             ウィキペディア

少なからず、彼らも私の体験したような暗闇の中にいたのではないかと思うと、心が痛みます。

関連する記事の中に、「若者の死因のトップが「自殺」である日本」という記事を見つけました。

厚生労働省は今月、昨年2019年の「人口動態統計」を公表している。  そこで驚かされるのは、15歳から39歳までの死因の第1位がいずれも「自殺」であることだ。5歳ごとの年齢階級別に表示される死因の順位を見るとわかる。2人に1人がなるとされる「がん」よりも多い。しかも、10歳から14歳まででは、「自殺」が死因の第2位を占め、2017年には同年齢階級の第1位になっている。  さらには、昨年の統計で40歳から49歳までの死因の第1位は「がん」だが、第2位は「自殺」となる。50歳から54歳まででは「自殺」が第3位、55歳から59歳までで第4位、60歳から64歳までで第5位に位置する。  国内の日本人の自殺者数は、3万2000人を超えた2003年をピークに、年々減少傾向にある。ところが、20代、30代の死因の第1位が「自殺」である傾向は、もう20年以上変わらないで推移しているのだ。  こんな国はない。こんなに若者が自ら死を選ぶ国は、先進国といわれるなかでも日本だけだ。

この事情は、国会議員の間でも問題視するところで、自殺問題に関する超党派の議員連盟もある。それでもこの傾向は変わらない。  米国、中国に次ぐ世界第3位の経済大国でありながら、若者にとっては生きづらい国であることを統計が示している。  相次ぐ芸能人の自殺の年齢層を見ても、この事情に当てはまっている。  もともとこの国は、同年齢層の自殺者が多いという異様な傾向にあって、それが芸能人の自殺報道の多発で浮き彫りになって来た、と受けとめるべきだ。いまのところ、コロナ・ストレスと自殺を関連づけるものは、なにもない。  仮に、新型コロナウイルスの影響が出ているのだとすると、来年に報告される自殺者の数は、20代、30代に限らず全体的に増えてくるはずだ。それも「新型コロナ関連死」であって、本来の20代、30代の自殺の多さを解決するものにはならない。

Yahooニュース

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『快三昧に生きる』 【19】

2020.10.12

無意識が意識を操っている

「信じていること」が自己世界を創造することについて、もう少し検証してみたいと思います。

エピソード記憶⇒固定化のメカニズム

 理化学研究所によると、覚えた記憶は、時間経過とともに、海馬から大脳皮質に徐々に転送され、最終的には大脳皮質に貯蔵されるのではないかとのアイデアがありますが、大脳皮質への記憶の転送に関して、どのようにして海馬から大脳新皮質へ転送され、固定化されるのかに関する神経回路メカニズムを発見しました。中略
エピソード記憶の形成後、最初はその出来事を思い出すのに主に海馬を必要としますが、その記憶を覚えた後、時間経過に伴い徐々に海馬は必要でなくなり、数週間後には大脳皮質を使ってそのときの出来事を思い出すことが分かっていました。このことから、心理学者や脳科学者らは、“記憶”は、時間経過とともに、海馬から大脳皮質に徐々に転送され、最終的には大脳皮質に貯蔵されるのではないかと考えました。この考えは、「記憶固定化の標準モデル」と呼ばれています。
・学習時に既に前頭前皮質で記憶エングラム細胞は生成される
・前頭前皮質のエングラム細胞は、時間とともに成熟する
・海馬の記憶エングラム細胞は、時間とともに脱成熟する
・扁桃体の記憶エングラム細胞は、時間に関係なく成熟している

理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター理研-MIT神経回路遺伝学研究センターの利根川進センター長と北村貴司研究員、小川幸恵研究員、ディラージ・ロイ大学院生らの研究チーム
理化学研究所

エピソード記憶は、具体的に自分がいつ、どこで、何をしていたかを言葉に示すことができるような記憶であり、これはかなり高度な脳機能といえます。

エピソード記憶のメカニズムを、ネットワークレベルで解明する〜藤澤茂義・理化学研究所脳科学総合研究センター システム神経生理学研究チーム チームリーダ

エピソード記憶は時間や場所やその時に感じた感情とともに記憶されます。自分で自分の記憶の中に探りあてた時に「覚えてる」となる類の情報がエピソード記憶なのです。

日常の一つの経験、一つのエピソードは感情(面白い、嬉しい、嫌感・・)が伴うと覚えやすく最終的に無意識に固定化されます。特にネガティブな感情を伴うエピソードは定着しやすく、その理由は偏桃体の“防御反応”によるものらしいのです。これは納得できます。

私の見解では
無意識の浅い部分が、意識をコントロールしている。
無意識の深い層には自己の本質的欲求や、最も深い部分には人間の原初の記憶すら収められていると考えています。
それを踏まえてメカニズムを考えてみると >> 続きを読む

『快三昧に生きる』 【18】

2020.10.5

信念はスペックの力に優る

「信じていること」が視点となって、あらゆる現象の判断の基準になっていることをお話してきました。そこから発展して、「自信」は構築されます。
「信じていること」に確信を持った時、「生きる自信」が生まれます。
自己スペックに関わらず信念が確立すると「生きる自信」につながります。
「生きる自信」とは確固たる自己肯定感とも言えます。

大抵の場合、自分の信じていることに確信を持つまでには至らず、迷ったり、揺らいだり、不安定のまま人生を歩んでいます。
そうした不安定さから、自分が信じていることに共感を得たり、同意されたりする他者を求め、他者によって確認するという行動が続きます。
「自信を持てない」と感じたとき、自己の基準と体感にギャップがあるかもしれないと思った方がいいのかもしれません。「自信」はスペックよりも「信念」に依るものだからです。
往々にしてストレスやフラストレーションを抱えながら我慢したり、頑張ったり、諦めていることはないでしょうか。 >> 続きを読む