鳥の目

「加速化する少子化危機」

韓国の危機的少子化は日本の未来?

日本より深刻…韓国“超少子化”で出生率0.78 背景に“非婚主義”拡大か 「非婚式」「非婚手当」とは?|FNNプライムオンライン

合計特殊出生率、つまり「女性1人が生涯に産むと見込まれる子供の数」も2015年以降、下落が続いていて、去年は過去最低の0.78でした。(2023年 0.72)OECD加盟国のうち1を切っているのは韓国だけで、日本との比較でも、ここ20年以上常に下回っています。この超少子化の背景には何があるのか。実際に子育て中のご家庭を取材してきました。ソウル近郊に住むファンさん一家です。夫婦と保育園に通う息子の3人で暮らしています。

 

ファンさん一家・妻:
本当に思ったより子供1人を育てるのにお金がたくさんかかるなと感じている

 


物価の上昇に加え、急速な利上げにより住宅ローンの支払いは当初の3倍に膨らみました。日本円でおよそ45万円の月収のうち、半分近くがローンに、残りは食費や光熱費に消え、貯蓄はできていません。

 


物価の上昇に加え、急速な利上げにより住宅ローンの支払いは当初の3倍に膨らみました。日本円でおよそ45万円の月収のうち、半分近くがローンに、残りは食費や光熱費に消え、貯蓄はできていません。ファンさん一家は将来の教育費への不安感も大きく、2人目の子供は持たないことを決めました。

ファンさん一家・妻:
ほかのママたちは英語幼稚園なども考えていて、私たちもどうしても考慮しない訳にはいかない。英語幼稚園は月150万ウォン(約15万円)くらいかかると聞きました

そもそも結婚する人が減っている

経済的な理由を挙げる人が多い一方で、
出生率の低下について、韓国統計庁は
「婚姻数の減少が影響を及ぼした」
としています。

去年の婚姻件数は1970年以来で最少となっていて、この理由の1つが高騰する住宅価格です。

 

ソウル市内で働く30代のキムさんは2011年、大学進学を機に地方から上京しましたが、これまで厳しい住宅環境に悩まされてきました。キムさんが住んでいた部屋は…

現在ソウルのマンション価格は平均でおよそ1億3000万円…若者には手が届かない韓国では今、“非婚主義”という言葉が定着してきているリスナーの大半が女性で、結婚後の育児や家事などの男女間格差を非婚の理由に挙げているという(リスナーは)これまで自分が積んでいたキャリアなどを維持しながら生きていけるのかという心配がとても大きい」

韓国“超少子化”で出生率0.78 背景に“非婚主…

非婚手当は企業によって様々

 

「非婚手当」とは?|FNNプライムオンライン

日本より深刻…韓国“超少子化”で出生率0.78 背景に“非婚主義”拡大か 「非婚式」

韓国の危機的状況 対岸の火事ではない

文藝春秋digital

2020年1月27日

激しい教育熱、苛烈な就職活動、勝者と敗者の埋められない格差……韓国社会で起こっていることは、日本にとっても「対岸の火事」ではない。/文・金敬哲(フリージャーナリスト)
背景には、沸騰寸前にまで上がった、国民の「不満の水位」がある。いまの韓国は、耐えがたい格差社会に陥っている。全ての世代で「無限競争」が繰り広げられており、社会が一握りの勝者と大半の敗者に分かれ、勝者独り占めによる格差が日増しに深刻化。「競争」と「格差」こそが現在の韓国社会の諸問題を引き起こしている。

塾をハシゴする小学生

韓国の教育熱を象徴するのが、「大峙洞(テジドン)キッズ」だ。ソウルの富裕層が住む漢江(ハンガン)の南岸、江南(カンナム)地域にあって、学習塾がひしめく地区「大峙洞」に通う子供たちのことである。

大峙洞の名門塾では、徹底した管理教育が行われ、早ければ幼稚園の時から、目標とする進路に向けた体系的なカリキュラムが施される。もちろん、多額の費用がかかるが、ソウルの他地域や地方からも名門塾を求めて、幼い子供を連れて大峙洞へ転居する。IMF危機を経験して、「信じられるのは自分の力だけ」と痛感した親たちが、子供の教育に一層熱を入れるようになったからだ。

「学習塾街までは歩いて15分くらいですが、ほとんどの子供は母親が車で送っています。1日に少なくても2、3軒の塾を回るので、子供だけだと時間管理が難しいからです」と語る1年前の冬、ソウル市麻浦区から引っ越してきたヒョンジュン君の母パク・ミンジュさん(仮名)。ヒョンジュン君が通う英語塾では、毎日、TOEFLとTEPS(ソウル大学が主管する英語能力試験)に向けた授業を3時間行い、小説やエッセイを原書で読んで発表、ディベートする授業も行っている。

深夜の違法授業

大峙洞キッズの憧れの的が、「一打(イルタ)講師」だ。ピッタリの日本語訳は、「カリスマ講師」だろう。

日曜日の朝7時過ぎに大峙洞のとあるビルを覗くと、1階から3階まで、階段にかばんがずらっと1列に並べられていた。ここは、大峙洞でも5指に入る名門塾・イガン予備校。子供たちが早朝から席取りをしているのだ。「日曜日は、数学の一打講師であるヒョン・ウジン教授の授業があるので、少しでも良い席で授業を聞こうと、生徒たちは夜明け前の4時頃からやってきます」

ヒョン教授のような一打講師の年収は、100億ウォン(約10億円)を超える。その多くが、20代後半から30代前半で、10人以上の秘書を抱え、専属のヘアメイクにスタイリストまで付けている。言ってみれば、教育界の「韓流スター」なのだ。

夜10時すぎ、大峙洞の学習塾街にほど近い公園や体育館では、多くの子供たちがスポーツに熱中している。

体育教室は塾ではなく、「体育施設」に分類されるため、条例が適用されない。この抜け穴を突いて、体育教室が盛んになっているのだ。

夜中まで体育の授業を受けるのも受験のためだ。韓国の高校入試は、基本的にペーパーテストがない。難関高校でも、内申書の成績や面接で合否が決まるため、主要科目だけでなく、体育や音楽、美術などの芸術科目でも良い点数を取る必要があるからだ。

一方、大学受験を控えた高校生は、違法な深夜教習を受けている。夜10時を過ぎると塾の入口にシャッターを下ろし、灯りが漏れないよう窓にぶ厚いシートを貼って、深夜授業を行う学習塾が少なくない。夜10時になると先生と生徒たちは塾の近くに借りたアパートへ移り、未明まで授業を続けるところもある。大峙洞キッズは、違法教習が行われるアパートを「自習室」と呼ぶ。

就活で100社に「玉砕」

ようやく志望大学に入学できたからといって、若者の苦労は終わらない。未曽有の就職難時代を乗り切るため、「8大スペック」を向上させなければいけないからだ。

8大スペックとは、出身大学、大学の成績、海外語学研修、TOEICの点数、大企業が学生を対象に行う公募展への参加、各種資格、インターン経験、ボランティアである。

ソウルにある中堅私立大学の崇実(スンシル)大学で経営学を専攻したチェ・シンさん(27)は、卒業を1学期猶予しながら、就職活動に専念している。一昨年の初めから本格的な就活を開始して、2018年の上半期と下半期、そして2019年の上半期の公開採用で、それぞれ30社余り、合計100社以上の企業に入社志願書を提出した。だが結果は、ことごとく「玉砕」だった。

チェさんも8大スペックの向上に力を注いだ。大学での好成績に加え、米テキサス大学で1年間の語学研修、子供たちの海外キャンプを引率してドイツで1カ月間のボランティア、有名ITベンチャー企業で3カ月間のインターンシップ。大手銀行の公募展に、SNSを使った広報のアイデアを出して採用もされた。TOEICは850点、中国語資格(HSK)3級、情報処理士、韓国史の資格も持っている。それでも就職は「狭き門」なのだ。

チェさんのように、数々のスペックを保有していながら、安定した職に就けない若者たちのことを「IKEA世代」と呼ぶ。スウェーデンの家具ブランドIKEAは、優れたデザインで価格も比較的安く、新婚夫婦や新社会人が短期間使う目的で購入することが多い。同様にIKEA世代も、優秀な人材であっても、非正規社員やインターン、契約社員など低賃金で短期間雇用されることが多い。

耐え難い格差を生み出す、韓国「無限競争社会」の苦しみとは?|文藝春秋digital (bungeishunju.com)

 

韓国の出生率、「0.78の衝撃」:日本よりも少子化が深刻になった訳

韓国では特に2015年以降、出生率が一段と低下している。これは、同年以降に出産した女性の多くが1980年代中盤以降生まれということと関係している。産児制限政策が80年代に、それまでの「2人産んでよく育てよう」から、「1人だけ産んでよく育てよう」に変わり、出生率低下につながったと考えられる。

韓国は少子化に直面しており、その状況は非常に深刻。世界銀行によれば、韓国の合計特殊出生率は世界200カ国のうち最下位の200位で、2022年には0.72を記録するという状況におちいっています。

そして日本においても韓国に追随する状況を呈しています。

大企業の狭き門、若年失業や就職浪人も

2022年の15~29歳の若年層失業率は6.4%で、失業率全体(2.9%)の倍以上もあり、日本の若者の失業率(20~24歳4.8%、25~29歳3.8%)を大きく上回っている。

韓国で若者の失業率が高い背景には、大学進学者が多く、卒業後の就職における需要と供給のミスマッチが発生していることがある。サムスン電子や現代自動車などの大企業(一次労働市場)と中小企業(二次労働市場)の間の賃金格差は大きく、「労働市場の二極化」が進んでおり、労働条件の格差は日本以上に大きい。大企業という狭き門を巡り就職戦線は厳しさを増している。

大企業の従業員は相対的に高賃金、良好な労働環境、労働組合による保護などの点で恵まれている。一方、中小企業は賃金が低く、劣悪な労働環境や、労働者の権利を保護するために経営者と交渉する労働組合の不在というように、求職者にとって魅力が乏しい。そこで、多くの若者は「就職浪人」をしてまで大企業に入ろうとするが、採用されるのは一部の人に過ぎない。

不動産価格の高騰も未婚化・晩婚化の一因だ。韓国では結婚前に男性側が家を用意する慣習があり、近年の不動産価格の高騰は男性にとって結婚のハードルを高め、婚姻件数の減少につながっている。最近は、韓国銀行(中央銀行)の急速な利上げでマンション価格は下落している半面、住宅ローン金利は上がっており、マイホームの夢は遠のいたままである。

 あまりに重い教育費負担

ソウル市の江南区、その中でも有名塾が集まっている大峙洞(テチドン)の実情は想像を絶する。例えば、有名塾に子供を通わせる場合、日本の内申書に当たる「学生生活記録簿」の“内申点”を上げるため、入試コーディネーターにアドバイスを頼むだけで年2000万ウォン(220万円)かかる。記録簿には高校1年から3年までの成績はもちろん、学内外の受賞歴、資格証の取得状況、語学試験の結果、課外活動、ボランティア活動、クラブ活動、進路希望などが書かれている。なぜ、ここまで大金をかけているのだろうか。

韓国の大学入試は大きく分けて「随時募集(日本の推薦入学に相当)」と「定時募集(日本のセンター試験に相当)」の2種類ある。随時募集は高校の学校生活記録簿、自己紹介書、教師推薦書、面接などが選考に反映されるのに対して、定時募集では大学修学能力試験(修能)の点数を中心に選考する。随時募集の割合は年々高くなり、2000年には3.4%に過ぎなかったのが、23年には78%に急拡大している。多くの大学が「修能」だけでは、問題を見つける能力、批判的思考、創意的思考や表現力を測ることが難しいと判断した結果だ。

ソウルの有名大学に入るには、生活記録簿が何より重要であり、親は有名塾に子供を通わせているのだ。塾のほかに科目ごとのプライベートレッスンを受けると、その費用は科目当たり1カ月に数十万ウォン以上に上る。

エデュプア(エデュケーションプアの略語)「教育貧困層」

塾の授業が一斉に終わる時間帯には塾が密集している「ウンマ交差点」をはじめとした大峙洞(カンナムグ・テチドン)一帯の道路は駐車場と化す。母親たちが子どもたちを迎えるため車の中で待機しているからだ。子どもたちは帰宅してもすぐに寝ることはできない。復習や宿題が終わると就寝は夜中3時から4時…。銃声の聞こえない入試という「戦場」で子供たちは孤独に戦っている。

教育熱は高校生だけに限らない。多くの親が幼稚園時代から子供に学外教育を受けさせている。英語を基本言語として使う英語幼稚園の費用は1カ月150万ウォン(16万円)もする。小学生になると塾に通わせながらプライベートレッスンを受けさせる。すると子ども1人当たりの教育費は1カ月200万ウォン(22万円)~300万ウォン(33万円)もかかる。

家計が赤字で借金をしているにもかかわらず、平均以上の教育費を支出し、貧困状態にある世帯を指す。韓国の民間シンクタンク、現代経済研究院の推計結果(2011年基準)によると、子育て世帯のうち、エデュプアは13%を占めた。調査から10年以上経った現在はより多くの世帯がエデュプアになっている可能性が高い。

ここまで日本とは異なる韓国の少子化の特徴について説明した。しかしながら、両国では①晩婚化や未婚化の進行②賃金などで男女差別の存在―といった少子化をもたらす原因に共通点も多い。また、両国とも子育て世帯を中心とする育児政策だけではなく、若者の就労対策や公的住宅の拡大などで結婚の経済的負担が減るような支援も強化する必要があるのではないだろうか。

日韓関係の改善をきっかけに、両国における最優先課題とも言える少子化対策に共同で対処するのはどうだろうか。両国の未来のために共に知恵を絞りたいものだ。

韓国の出生率、「0.78の衝撃」:日本よりも少子化が深刻になった訳 | nippon.com

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