脱・ヒエラルキー思考 2

「自分の国や社会をかえられると思う』と考える若者」が他国に比べ、あまりにも低い数字に開いた口が塞がらないほどです。

日本は、このように社会とか、政治にあまりにも無関心であるとともに、自己の人生を、御上任せにしてしまっている原因が、「御上意識」「親方日の丸」観念にあるように思われます。

「自分の力など及ぶところではない」ということなのでしょう。

本当はそのような思考は、昭和生まれの中年以降の特許のはずです。
若者はそんな世界観を嫌って、「自分らしさ」の自由を選択しているはずです。

政治に期待できないことは解りますが、政治以外のやり方でも社会は変えられる、ということもあるはずです。 

衆院選2021 若者の投票状況を他国と比較してみると? 際立つ日本の低投票率

2016年の参議院議員選挙以降、3回の国政選挙で10代有権者が投票してきました。


図表2_年齢別投票率の比較

この間10代有権者の投票率は右肩下がりとなっています。例えば18歳有権者の投票率は、51.17%(2016年参院選)→50.74%(2017年衆院選)→35.62%(2019年参院選)、19歳有権者の投票率は39.66%→32.34%→28.83%と推移しています。

図表2では、G7のうちイタリアを除く6か国の年齢別投票率を比較しています。
総じて各国とも若者世代の投票率が低く、年齢を重ねるほど投票率が高くなっていることが確認できます。

日本の特徴としては、年齢の低下に伴う投票率の減少幅が他国よりも大きいことや、75歳以上の世代の投票率が大きく減少していることがあります。

日本では18歳~24歳世代の投票率は65歳~74歳の世代に比べて約40%低下していますが、次に低下幅が大きいアメリカやイギリスでは25%程となっています。やはり日本の若者は他国よりも投票に参加していないことが強調される結果となります。

若者が投票をするための環境、サポートはこれまでよりも充実しています。
でも、いざ投票しようとすると、様々な壁があります。

例えば、「シルバーデモクラシー」。
少子高齢化が進む中で有権者に占める高齢者の割合が増し、高齢者層の政治への影響力が増加する(=若者を含む他の世代の政治への影響力が減少する)ことを指す用語ですが、この言葉を目にして「だから投票しても仕方がない」と投票する気持ちをくじかれてしまっている人もいるかもしれません。でも、「日本に暮らしている18歳~29歳(約1,495万人)の4割の人は自分たちが投票に行くことでシルバーデモクラシーを回避できる」と言われるとどうでしょうか。
他の世代に比べて政治に参加しづらい思いをしているのは、きっと他の国の若者たちも同様です。でも、自分たちが暮らす社会を二分するような問題に面する中で、アメリカもイギリスも若い世代が一歩を踏み出して、投票により多く参加するようになっています。

院選2021 若者の投票状況を他国と比較してみると? 際立つ日本の低投票率(原口和徳) | 日本最大の選挙・政治情報サイトの選挙ドットコム (go2senkyo.com)

このような現象は、日本風土の「ヒエラルキー依存」が原因ではないかと思うのです。

>> 続きを読む

脱・ヒエラルキー思考 1

 先日『徹子の部屋』に上沼恵美子さんが出演していました。

いつも自身の番組では、ゲストの方々にマウントやお世辞、忖度を駆使し、優位性を測る行動を基本にしている方だという認識はありましたが、今回の『徹子の部屋』での徹子さんへの対応は、まるで神様扱いでした。

ご自身の仕事について、そろそろ辞めようかと「どうしたらいいでしょうか?徹子さんのおっしゃる通りにします」と。

いつもの態度とは大違いに、大きな身体を小さく畳んだ姿勢。
「まだ、お若いんですから、お続けになれますよ。そうなさったらいいんじゃないですか」と丁寧な徹子流の対応に、拝むように「ありがとうございます」を返す彼女の言葉には、賛美の嵐が加わり、あまりにも強烈なヒエラルキー主義・思考を感じて違和感さえ覚えました。

でも、このような場面は古い日本風土では当たり前のように見られる状況です。

このように私たちの脳には強い「ヒエラルキー思考」という羅針盤(心のコンパス)が自動的に働いていつもピラミッドのどの位置に居るか?相手は自分よりも上に居るか下に居るか?という想いが無意識に働いてしまうのです。 >> 続きを読む

『遊びをせんとや生まれけむ』2

 兼近大樹氏を「生き方のスタイリスト」と勝手に称して、彼の著書『むき出し』の推薦者の動画のURLと共に、ざっくり著書のご紹介をしました。
https://neusolution.matrix.jp/neu-solution/2489.html

前回触れましたように、人は共同体の色に簡単に染まってしまう動物であることがお解りいただけたと思います。最小共同体の家族間では遺伝の影響で家族の価値観、体質が似通うことは当然です。

ここで家族の外側に存在する、中間共同体、例えば学校、会社、地域、クラブなどが、家族間価値観と共に私たちに大きな影響を及ぼしていることを再認識したいのです。

「お金の量と知能は比例する、という身もふたもない現実」

先の兼近氏の例のように、貧困や、母子(父子)家庭などの過酷な環境に育つ子供は、家庭にぬくもり、安心を得られないことも多く、その上、学校嫌いが加われば、まともな中間共同体への参加は無理と言えます。
『知能テストの結果と、収入の多寡には明確な相関関係がある』ということが判明されています。 これは考えてみれば至極当然で、金持ち世帯は金に余裕があるため、子どもにも惜しみなく英才教育を施すことができます。また、親は時間的、経済的余裕がある上に賢いゆえに、子どもに対し勉強以外の様々な有益な体験をもさせることが可能です。そうやって育てられた子は当然賢く育ち、その子どもにも同じような教育を施すという循環ができます。

そして、社会は賢く能力のあるものが勝ち組となって幸せを得てユートピアに住むことができる。それ以外の多くの落ちこぼれ達はディストピアの世界で一生苦しみながら死んでいくしかない。

これが「無理ゲイ」「親ガチャ」「遺伝ガチャ」で想定された現実物語の姿であるというお話をしてきました。

こんな考え方もあります。
「無理ゲイ社会」では個人の能力主義・実力主義から、中間共同体への依存度が低くなり、次第にその必要性を失い、やがて中間共同体は解体され力を失う運命にある。
うざったい柵(しがらみ)から解放され自由に選択し、謳歌、集中できるメリットがあるからです。
反面、それまで地域、会社、その他の組織の傘下に入ってパラサイト的に中間共同体に保護されていた依存者たちにとっては、ノミ二ケーションや付き合いもなくなり、助け合える仲間もいなくなって、たとえ困難に出逢っても「自己責任」の名のもとに、自分ですべてを引き受けていかなければならない「孤独」を抱えて生きてゆくことになります。 >> 続きを読む

『遊びをせんとや生まれけむ』1

遅まきながら、あけましておめでとうございます。

2022年最初の投稿です。

皆様、良き2022年をお迎えのことと思います。

私的には、昨年冒頭から始まった「癌」との出会い、手術から一年を経た2022年正月でした。
手術の後遺症との共生にも馴れ、リハビリのつもりで近場の小旅行を敢行しましたが、思った以上に調子よく、3時間もの歩行も余裕で、同行者に迷惑をかけることもなく、久方ぶりの非日常をすっかり満喫し、堪能して帰ってきました。

世間は?と言うと、正月が過ぎるころから徐々に、感染力が強いと言われるコロナ新変異株、オミクロン株が急速に感染を広げる状況が続いています。感染された方には、心からお見舞いを申し上げます。そうでない方には、充分に心しながら日常をお送りください。

さて、そんな中、元旦未明に放送された「朝まで生テレビ」は、日本の現状と行く末を語る人々の「確固たるビジョン」の提言がぶつかり合う様子につい巻き込まれていました。

個々に独自の「ビジョン」を投げかける人の中に、組織への忖度、コバンザメ的な人がその色合いを明確にしたのも面白い状況でした。またホテルのTVで偶然「マイケル・サンデル 白熱教室」の放送に出逢い、日本、中国、アメリカの大学生たちによる討論を観る機会を得、会話の主題にもなり、若者の意見にも触れ、大変有意義な時間を共有できました。

その中で中国人学生は、他の国の学生たちと比して、生活に満足し、国の政策に不満がないと語る人たちに皆驚き、洗脳の怖さを知りました。

別の角度から見れば、幸せを得られているとも言えるかもしれません。それを世界中に知らしめたいという意図が政府側にはあるのでしょう。

閉鎖されている情報空間においてはこのような思考のコントロールは容易と言えますが、それに気づいて異なる行動をするものは、簡単に排除されてしまうでしょう。

中国共産党政府は、国民全体を都合のよい方向に育成し、政権を安定させられるため、小学校からプロパガンダ、洗脳教育に力を入れている。そのため政権側の思いのままの大人になるのは当然でしょう。

中国においても、格差現象は厳しいようで、若者たちの間に「寝そべり族」と呼ばれる、最小限だけ働き、ほとんどの時間を寝そべって過ごす若者が出現しています。
このような情報が発信されるとすぐに削除されるということです。

 

ところで、若者を中心に人気上昇中の『EXIT』ボケ担当の兼近大樹の小説『むき出し』が最近話題になっています。彼の過去の黒い交際や過ちなどを体験のまま書き下ろし、カミングアウトした、告白自伝的小説です。又吉直樹氏、茂木健一郎氏も推薦しています。
又吉直樹×兼近大樹 本音むき出し特別対談①小説編 – Bing video

EXIT兼近大樹が自伝的小説出版に違和感も…逮捕歴を告白し爆報THEフライデーにも出演、過去の犯罪をネタにし物議 | 今日の最新芸能ゴシップニュースサイト|芸トピ (geitopi.com)

2019年10月14日(月)11:22
EXIT兼近大樹さんは4日放送の『爆報! THE フライデー』(TBS系)に出演し、番組では貧乏だった少年時代から犯罪に手を染めるまでのことが再現VTRで紹介され、周囲も片親や両親がいないというのが当たり前の環境で、2011年に逮捕された売春斡旋事件についても、「法に触れるということは分かってた上で、僕が未成年のころは『それの何がいけないんだ』でしたね」と当時を振り返っていました。一方の窃盗事件に関しては逮捕、不起訴処分になったことは伝えたものの、本人が事件の詳細を明かすことはありませんでした。
番組放送後にツイッターを更新したEXIT兼近大樹さんは、「爆報フライデーせんきゅすでした!!兼近の人生に関わって下さった皆様に感謝します。そしてお騒がせして本当に申し訳ございませんでした。」と謝罪の言葉を綴った上で、「真実を全て話しましたが、もちろんテレビでは描けない部分も多々あります。兼近自身も知りたい方には何もかもさらけ出したいと思っていますので中卒のチャラ男が初めての自伝的小説に取り組んでいます。そこに事細かに書きますので、応援してくれる方もそうでない方もそちらを手にお取り下さい!!」と、自伝的小説を執筆中であることを明らかにしました。

髪をピンクに染め、派手なファッションに身を包み、チャラ男のキャラクターを呈しているものの、彼の実態は観るごとに外見とは異なる人間として魅力的キャラクターに想えてなりません。 >> 続きを読む

優先する行動に秘められた方向性(ポリシー)

行動こそがすべてを語っていることについて、また、つい優性しがちな行動について少し触れました。NEUノイsolution 行動こそがすべてを語っている (matrix.jp)

それは優先する行動にこそ自身の現在(資質、現実)、そして目指している、あるいは、進む方向性が顕現しているからなのです。
意識が向かっている方向、その方向に進むことが、今の自分にとって一番抵抗なく、最優先できるということです。

たとえ一番大切だと思っていることが他にあったとしても、やはりそれよりも優先することは、とりあえずそれを今は一番優先しなければならない、つまり(優先する人、コトを大事にすることは)何よりも犯すことができないルールになっているからです。

つまり、自分で自分に犯すべからざるルールを課す。そのルールは自分にとって絶対と言えるほど自然で、当たり前のことなのですが、言い換えると生きる上で一番重要な事となっているといえます。そのルールの意味こそ、向かっている方向なのです。

幼少時代、保育園や幼稚園に行くようになった3歳児、4歳児は、初めてルーティン生活に入ります。
始めは一人前になったような感覚と、新しい生活変化に興味深々で早く起きてしまうかもしれませんが、慣れてくると朝寝坊をして、ママに起こされ、眠い目をこすりながら無理矢理、気合を入れて引きずられるように園に行くこともあるでしょう。
園の環境が面白く、毎日が楽しくてしかたない場合は、明日の来るのが待ち遠しくて、起されなくても起きていたかもしれません。
定時に起きる、そのために定時に寝る、定時に食事をする、歯を磨く、顔を洗う、お風呂に入る…というようにルーティンのルール通り行動することを続けていくと、知らないうちにそれが当たり前のこととなってきて、自動的に行動するようになります。
このようなルーティン行動は、親の価値観、方向性、習慣が大きく影響します。そのため、子供にとっての自由度はその枠内に限定され、ある年齢までは、それを当たり前になぞる生活を続けます。

幼稚園、保育園に通うようになり、多様性に触れることで、少しずつ影響を受け、行動にも変化が出てくるでしょう。そうやって子供社会のなかで自分の位置も明確になり、個性を創るようになります。
更に成長するに従って、時間に管理される生活は益々多くなり、強化されてゆきます。
成長すること=自由度が減少する、という観方をすることもできます。

その自由度をどこまで自己の選択で決められるかが後のキャラクターに大きく関わります。
親の言いつけを良く守り、親の顔色を伺いながら日常を過ごす子供、また親のいうことはいつもスルーして一人遊びにふける子供、言い換えると、リスクを負っても自由を自ら獲得しようとする子供と、親にすべてを託し安全を選択する子供とによって、そのあたりから個性が構築されるのです。

思春期はその第2段階で、同じような選択の機会が訪れます。親への抵抗心が生まれやすく、その時期には自己を新たに確立するチャンスとなります。
あなたのその時期はどのような選択をしてきたのでしょうか?

それは現在の状況にも大きく関わっていることを知ることになるでしょう。
「一人遊びが好き」は大人になっても、老人になっても変わりません。
『三つ子の魂百まで』とか『雀百まで踊り忘れず』は、「幼い頃に表れている気質や特徴は、歳をとっても変わらない」ということですが、正にそれを実感しています。

>> 続きを読む

行動こそがすべてを語っている

『虚構』に操られる実態

 

虚構が行動に影響するプロセスは、図のようになります。

私たちは、自己の意識によって行動を選択しているかのように錯覚していますが、実はこうして『虚構』に操られた行動をしていることが解ります。

「こうしたい」と思っても、つい他のことを優先してしまったり、不快を感じながらも、つい我慢をしてやり過ごしたり、予定を立てたのに、他者の誘いを受けるとつい断れず、そっちを優先して計画変更したり、ということは誰にも経験しているのではないでしょうか。
つまり、「優先するモノ、コト」が、脳にプログラムされているために、そのような行動を選択するということがお解りいただけると思います。

受動的虚構においては、自分よりも社会のルールを優先すべきという意識が勝ってこのような行動結果を産むということです。
自分を優先させることは『我儘』と言う烙印が押され、社会との不協和を意味するため,自分の「快」はいつも後回しにされるようインプットされているのですね。
つまり、能動的虚構ではなく受動的虚構ががっちり構築されている結果の行動と言えます。

このような観方をすると読者の方からは「みんなが好き勝手してしまったら纏まらなくて困るだろう」という声が聞こえそうです。

そういった観点が基になって、理想的な人間の在り方をルールに取り込んで管理しやすいようなシステムが拡散されたのかもしれません。大元は宗教思想が背景にあったと言えるでしょう。 >> 続きを読む

(続)物語を創りながらその中で生きている私たち

 

「能動的虚構」構築の勧め

 先回、「この世は「虚構」で出来上がっている」について、仏教的見解と歴史学者ハラリ氏の見解から紐解いてみました。

一朝一夕には、それを鵜呑みにできない方々が大半なのではないかと察します。
だからこそ、何万年も前から仏教上で説かれた根本教理(縁起)が、現代になってもなお「由来」や「ジンクス」としての意味にしか使われていないのだと思います。

もちろん、物語や噂話が人類を団結させ、集団の力のお蔭でサピエンスは生き延びたことも事実です。同時に人間に必要以上に恐怖心を植え付けるような無用な物語、噂話も無数に作られたことも事実です。

それらを分別する能力を持たなかった時代には、それらすべてを信じ、怖れを抱き、そこから逃れよう、救われようと「神」という人を超える存在を生み出したことも否めません。それは「不安」を脱する手段となり、人間の寿命を延ばすことにも効果的だったかもしれません。

 2021/10/10の記事NEUノイsolution (続) 社会変革への大胆な提言 『モモに学ぶ時代の牽引者たち』 (matrix.jp) にマッチポンプについて触れましたが、ここでもまるで、同じことをしているように思います。

不安を煽って、救いの手を向け利益を得る、というこのような手法は詐欺の手口としてよく耳にします。ところが、現実においてもこのような手段を用いた商法は公然と行われ、誰も非難する者はいません。時々はブラック企業として名前を上げられる企業がありますがそれは、初めから詐欺を目的とした企業です。

そうではなく、確信犯的に公然と、政治の世界や社会的重大企業で行われているということを申し上げたいのです。上記の「神」という存在を創り出したルーツと同じです。

「不安」を解消するための商品は山ほどあります。私たちは「認知革命」という虚構を創り出す能力のお蔭で、「不安」を煽られることに極端に弱い性質を備えてしまったとも言えるような気がします。「保険」や「貯蓄」という概念はその代表的なものではないでしょうか?

これらは商用に誰かのアイデア(虚構)によって作られたものです。また文化、慣習、普通の概念、世間、諺、噂、ヒエラルキー・・・・・・・・・・・・・・・・・・も同じ人工の虚構です。

そして私たちの脳内プログラムの素材はほとんどこれらの「受動的虚構」から採用し、関係性を築き上げたといって言い過ぎではないでしょう。 >> 続きを読む