意識のちから

『君たちはどう生きるか』2

もう一つのブロックチェーン

本書の要点
1. 人間としてどう生きるか?を学ぶには、自分を世の中という大きな流れを作る構成員の一人として捉える俯瞰的な視点を獲得しなくてはならない。

2. 教えられた通りの言葉や行動をなぞるだけでは、いつまでたっても一人前の人間にはなれない。自分が感じたこと、自分の心が動かされたことを大切にして、それに従って生きるべき。

3. 人間は自分で自分を決定する力を持っている。だから誤りを犯すこともあるが、だからこそ誤りから立ち直ることもできる。変えられない過去を考えることを止めれば、今自分がしなければならないことにまっすぐ向かっていける。自分の過ちを認めることはつらい。しかし過ちを辛く感じることの中に人間の立派さもある。

4.学問を学ぶ理由。学問とは人間の経験をまとめたもの。

「人は網目のようにつながっている」ということは、その網目の一部として自分も存在している。そんな社会・世界を創っている一部であるなら、個人の考えが社会を変える可能性も大ありなのだというメッセージを感じ取れる。

網目の多くの情報をまとめたものが学問なので、それを学ぶことにより、一人で経験した何十倍もの情報を知ることができ、それ以上に莫大な網目と繋がることができ、自分の世界を劇的に広げることができるのだ。そうすることで、社会を変える力はより大きなものになり得る。
   この漫画の原作は、81年前、吉野源三郎という作者によって書かれたもので、作者の実体験が反映されている。
 作者は、子供の頃いじめる側だったらしい。あまり苛めまくったので、クラスの誰もが口をきいてくれなくなって、暴力で暮らすを制覇した。けれど全然ダメだった。
クラス全員に無視され、孤独を知った。吉野さん(中学生)の孤独な心を救ってくれたのが本だった。学校に行っても誰も相手にしてくれない状況で。キリスト教と出逢い、聖書の中にあった「汝の敵をあいせよ」という言葉に衝撃をうけ、その後価値観がすっかり変わったということです。
 コぺル君は、「おじさんの言うように、僕は消費専門家で、何一つ生産していない。しかし僕は“いい人間になる”ことはできます。自分がいい人間になって、いい人間を一人この世に生み出すことは僕にもできるのです。そのつもりになればこれ以上のモノを生み出せる人間にだってなれる」と締めくくっています。これは正しくクラス全員に無視された孤独から生まれた、子供の頃の作者の叫びのように感じました。

もう一つのブロックチェーン
 
実はこの漫画、先日書いた記事中の、「ブロックチェーン」とも関わっていることに気づいた方もあるかと思います。
「すべては、関わり合うことで成り立っている。ゆえに、実体というものはない」という言葉を思い出します。

  最近は、あちこちで、この概念が話題になり、あらたな地平が開けようとしています。ただ、この思想・概念は太古の時代からあり、一番解りやすく説明してくれたのが、「ブッタ」です。しかし、このことをこれまで学んだことがない多く人たちが、この概念を自ら発見したかのように伝えています。コぺル君もしかりです。

 つまり、私たちの無意識の古層には、この概念はしっかり根付いて、存在しているのではないのでしょうか。その無意識の古層との共鳴が、100万部というベストセラーにつながっているような気がしてなりません。

 パソコンが普及し、同時にインターネットが世界中にあっという間に広がり、ブロックチェーンを開発したフェイスブックCEOマーク・ザッカーバーグさんは、このシステムを用いて、仮想通貨を生み出しました。彼は世界の変革者と言えます。彼の年頭に語った中で、例えば暗号化技術と仮想通貨だ。これらは中央集権化されたシステムから権力を奪い人々の手に戻す。だがこれらはコントロールしにくいというリスクを伴う。だからこれら技術のポジティブ・ネガティブ両側面とフェイスブックのサービスにどう活用できるかを深く研究したい。今年は自分を向上させるためにとても大事な一年となる。これらの問題の解決を通して学べることに期待している。」

個人に発信力を与えてきたフェイスブックと、非中央集権的なブロックチェーンや仮想通貨との親和性は高いと思われ、今後の展開に注目が集まる。

 ブロックチェーンの可能性は、ザッカーバーグに止まらず、世界中の若者たちによって研究が進んでいるようです。今後も「関係性によって成り立つシステム」は益々身近に感じられるようになるでしょう。それは世界のパラダイムシフトを急速に進める元となる気がしてなりません。

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