意識のちから

「感情」は自己責任‼ 4-3

直感

 何か良くないことが起こりそうだ、と感じた経験はありませんか? 多くの人はあると思います。その予感はどこから来るのでしょうか? それは潜在意識が発したメッセージかも‼ あなたの意識が知らないことすら知っているのです。

神経科学者のジョシア・ブラウンは自転車で町を走りながら常にハプニングに備えています。

「自転車で出かけると、あらゆるところに危険が潜んでいます。歩行者が飛び出してきたり、車のドアが急に開いたり、車が突然前に割り込んできたり、避けなくてはならない危険がどこに潜んでいるか絶えず見極める必要があります。」
 
しかし、こうした危険を察知して身を守る意識的な判断は、人間の危険察知のメカニズムの表層にすぎないとブラウンは考えています。行く手に潜む危険から身を守るのは私たちの潜在意識なのです。
 
 
悪いことが起こりそうな時、潜在意識はどうやって直感を引き起こすのか?ブラウンは、その仕組みを解明する実験を考案しました。
「毎回画面の中央に左右それぞれの矢印が現れ、←は左ボタン →は右ボタンを押します」
 ただし、罠があり、矢印がでた0.5秒後に反対向きの矢印が出ることがあります。その場合は後で出た方を押さなくてはなりません。1回1秒です。
「慎重になり過ぎて間に合わなかったり、慌てて間違ったボタンを押したりします」実は、矢印の出方には一定のパターンがあります。非常に判り難いため意識的に反応するのは無理です。被験者は直感に頼るしかありません。

「私たちが目指しているのは、ミスしそうだと予感した瞬間に信号を送りだす脳のメカニズムを解明することです」

 次に機能的MRIを使って被験者の脳の活動を調べました。すると被験者がミスをしそうだと感じたときの脳のある領域が活性化することが解りました。
それは「前帯状皮質」という部位です。

「赤い部分が前帯状皮質です。(前頭葉頭頂部前よりの奥)
まだミスをしていなくても、しそうだと思って活動しています。つまりこの部位はミスをする可能性を予見していると考えられます」
ブラウンはこの前帯状皮質の活動こそ直感の源であると考えています。直感は自己から自分の身を守るだけでなく時には数百人のいのちを救うことさえある能力です。

1991年湾岸戦争開始直後、イギリスの艦隊がクエート沖30㎞の海域に停泊していた時、そのうちの1隻で、ある海軍将校がレーダーに突然小さな点を見つけました。
「その点の正体は二つに一つ、空爆から帰還途中の従軍機。もう一つはイラク軍が発射したミサイルです。1分以内に決断しなければならない状況で、彼は迎撃を命じました。レーダーから点が消え、彼は自分の判断が正しかったのか苦悩しました」標的は従軍機ではなくイラク軍のミサイルだったことが明らかになりました。撃墜されたのは艦隊から800mのところでした。
「彼の直感が艦隊と数百人のいのちを救いました。脳は絶えずこの種の信号を処理しています。
 今、初めて気づいた、あるいは初めて決断したと思っていることも、実は脳がずっと前から処理していた可能性が高いというわけです」潜在意識は常に意識の先をすすみ、何をすべきか私たちに報せています。

【潜在意識が秘めた直感、前帯状皮質、スゴイですね。私たちは潜在意識というもう一人の案内人によって、誘導され、判断、決断、行動というプロセスに至っていると言えるようです。神や仏の神秘力は、こんなところに実体があったのでしょうか。いずれにせよ、わたしたちの脳内のメカニズムをこのように具体的に解明されたことによって、潜在意識の驚くような能力を認識できました。これは個々それぞれの体験によって異なるも,つまり個々の「フィルター」との関連性が大であることもだんだん見えてきました。
 「フィルター」関連で、ちょっと話が飛びますが、認知心理学において、「スキーマ」という概念があります。これは人間の認知過程を説明するもので、ある物事に関する知識について似たような例が集まってくるとそれらに共通したものを抽出して体制化されたものです。つまり人の成長につれて形成される物事の根本的な捉え方(癖)や無自覚のうちに自動的にそう思ってしまう、という背景にスキーマがあるということです。(スキーマによる自動的思考によって不合理な勧化方とか否定的な考えに捉われることを認知の歪みといい、これが偏見を生みます。)
「フィルター」「潜在意識」「スキーマ」これらは、ほとんど同類の脳作用に見えます。】

 

 

 

 

 

 

 

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