2017年8月

意識のちから

「フィルター」が創る世界(2-3)

脳は自ら再配線する―その3「本能」

 私たちは脳に支配されているのではなく、私たち自身が脳を支配している、ということを本当に認識できたでしょうか?今回は基本的疑問「本能」についての考察です。

『SUPER BRAIN』(ディーパック・チョプラ著)より

 闘争逃避反応は、ストレスに対する本能的な衝動として私たちの脳に組み込まれているが、だからといって、高速道路の息苦しいスモッグの中で立ち往生して苛立ちを募らせるドライバーたちが、一斉に車を乗り捨てて逃走したり、乱闘したりはしない。フロイトは「文明とは、より高次の価値観を優先させるために、原始的な衝動(反射的闘争・反射的逃避)を抑圧することによって成り立つものだ」と考えていた。これは十分真実味を帯びている。しかし彼は、その代償は大きい、と悲観的に考えていた。

低次の衝動を抑圧しても、その存在を消し去ることや、深層にある恐怖や攻撃性と和解することは決してできない。その結果高次の価値観と低次の衝動の間に世界大戦のような集団暴力の爆発が贈る。抑圧されたエネルギーのすべてが制御不能な残虐な形で噴出し多くの命を奪うのだ。
 
サイコパス・宗教的こじつけ聖戦など、世界には多くのこのような現実が未解決のままとなっています。

 完璧な答えを出すことはできないが、それでも、動物的本能の操り人形というレッテルを人間に貼るのが誤りなのは確かだ。高次脳も低次脳も劣らず合理的で強力で、進化的である。脳内最大回路は高次脳と低次脳の間で自動的に制御されており、融通が利く。

 あなたがプロアイスホッケーの選手で攻撃を仕掛けるポジションにいるとしたら、攻撃を好む能回路(攻撃志向フィルター)を形成する選択を重ねてきたことだろう。しかし、それはつねに一つの選択であって、いつかその選択を悔やむ日が来れば、引退して仏門に入り、慈悲について瞑想し、脳の回路をつなぎ直してより高みを目指すこともできる。いつでも選択し直せるのだ。 >> 続きを読む