2017年6月

共創空間

GDPの大いなる詐術

『隷属なき道』(続)

 

 第5章 GDPの大いなる詐術 まとめ

 ・GDPは進歩の計算も苦手だ。コンピューター、カメラ、電話は洗練されたが数字には反映されない。さらに、無料の製品となると、経済の首相という評価をもたらしかねない。例えば、Skypeのような無料電話サービスは、通信企業の収益を大幅に損なっている。加速度的な進化にも関わらず、情報部門がGDPに占める割合はインターネットがまだ普及していなかった25年前から変わっていない。

・1932年、不況の底にあった米国は優秀な若いロシア人教授、サイモン・クズネックを雇い、米国はどれくらい多くのモノを生産することができるか、というシンプルな問いの答えを探させた。クズネッツは数年かけて、後にGDPとなるものの基礎を築く。その貢献によりクズネッツは1971年にノーベル経済学賞を受賞する。

・GDPは戦時における国力の優れた指標であった。 >> 続きを読む

共創空間

 ニクソンの大いなる撤退

『隷属なき道』(続)

 

第4章 ニクソンの大いなる撤退

・ニクソンは1969年には、すべての貧困家庭に収入を保護する法律を成立させようとしていた。例えば家庭には、1600ドル(2016年の貨幣化に換算すると訳1万ドル)」の収入を保証するものだった。

・しかし計画公表の日に、一部の保守派から150年前の英国スピームランド制度の報告書が大統領に手渡された。ベーシックインカムを受給する失業者に労働省に登録する義務を課した。しかし貧困を撲滅すると同時に失業者の怠惰さと戦うというニクソンのトリックは「貧困層は怠け者」という通説を印象付けることになった。

・18世紀末に実施されたスピームランド制度は「勤勉ながら貧しい男性とその家族」の所得を最低限の生活ができる水準まで補填するものだった。しかし1834年英国の王立委員会はスピームランド制度について「大失敗だった」と結論付け、人口の激増や賃金カット、不道徳な行為を招き、労働者階級が劣化したと非難した。 >> 続きを読む

共創空間

貧困は故人のIQを13ポイントも低下させる 

『隷属なき道』(続)

  • 第3章 貧困は故人のIQを13ポイントも低下させる まとめ

 

・「欠乏亡き心理」がもたらす悪影響は、そのメリットをしのぐ。欠乏はあなたの気持ちを、差し      迫った不足に集中させる。5分後に始まる打ち合わせ、翌日に迫った支払いなど、そこでは長期的な視野は完全に失われる。

・新型コンピューターに、10の重いプログラムを並行処理させることを創造してみよう。動きはだんだん遅くなり、エラーが発生し、遂にはフリーズしてしまう。貧しい人々の状況もそれによく似ている、彼らが愚かな判断をするのは、愚かだからではない。愚かな判断に追い込まれる環境で暮らしているからだ。

・実際に貧困による影響はIQが13から14ポイント下がるのに相当した。 >> 続きを読む

共創空間

 福祉はいらない、直接お金を与えればいい 

『隷属なき道』(続)

第2章 福祉はいらない、直接お金を与えればいい まとめ 

世界各地で行われた研究により、確たる証拠が示されている。フリーマネー(自由になるお金)は機能する。既に研究によって、フリーマネーの支給が犯罪、小児死亡率、栄養失調、10代の妊婦、無断欠席の減少につながり、学校の成績の向上、経済成長、男女平等の改善をもたらすことがわかっている。

ブラジルからインドまで、メイキシコから南アフリカまで、2010年にはすでに、45か国の1億1000万を超える家庭に現金が届けられている。

貧しい人々はお金を無駄にしない。フリーマネーは、当事者が自分にとって必要なものを買うために使える。世界銀行が行った大規模な研究によると、フリーマネーの全事例の82%でアルコールとタバコの消費量は減少した。

トマス・モアが『ユートピア』の中で夢想したベーシックインカム。右派から左派まで、新自由主義者を牽引したハイエクやフリードマンも支持した。月々の手当は生活するには十分で、もらったからと言って何かをする必要はない。給付の唯一の条件は生きているということだけだ。 >> 続きを読む

共創空間

過去最大の繁栄の中、最大の不孝に苦しむのはなぜか? 

『隷属なき道』(続)

第1章 過去最大の繁栄の中、最大の不孝に苦しむのはなぜか? まとめ

 過去2世紀の間に、世界の人口と富は爆発的に増えた。今や一人当たりの所得は1850年の10倍に増えた。世界経済は、産業革命の時代、ほぼすべての人が貧しく、空腹で、不安で、愚かで、病にかかり、醜かった時代の250倍に膨らんだ。

全世界の平均寿命は1990年には64年だったが、2012年には70年になった。これは1900年の倍以上。植える人も減っている。現代では栄養失調に苦しむ人の数は、1990年に比べて散文の3/2  以下になった。全世界で、1日2000キロカロリー未満で暮らす人の割合は1965年には51%だったが2005年にはわずか3%になった。 >> 続きを読む