ミグラム実験 出典日本心理学会
験者である「教師」Tは、解答を間違える度に別室の「生徒」Lに与える電気ショックを次第に強くしていくよう、実験者Eから指示される。だが「生徒」Lは実験者Eとグルであり、電気ショックで苦しむさまを演じているにすぎない。
「教師」はまず二つの対になる単語リストを読み上げる。その後、単語の一方のみを読み上げ、対応する単語を4択で質問する。
とにかく何でもいいのでクイズを出すわけです。「生徒」は4つのボタンのうち、答えの番号のボタンを押す。「生徒」が間違えると、「教師」は「生徒」に電気ショックを流すよう指示を受けた
電気ショックを受けた人の反応(指示された演技プラン)
電圧を上げていくと、激しく苦しむ様子を見ることになるわけです。また電圧は最初は45ボルトで、「生徒」が一問間違えるごとに15ボルトずつ電圧の強さを上げていくよう指示された。
被験者が実験の続行を拒否しようとする意思を示した場合、白衣を着た権威のある博士らしき男が感情を全く乱さない超然とした態度で次のように通告した。 1. 続行してください。 2.この実験は、あなたに続行して いただかなくては。 3.あなたに続行して いただく事が絶対に必要なのです。 4.迷うことはありません、あなたは続けるべき です。
アイヒマンがそうであったように、権力者からの絶対的な「指示」があるわけですね。
「誰もがアイヒマンになり得る」ということを示す驚きの実験結果
実際の実験結果は、被験者40人中25人(統計上62.5%)が用意されていた最大V数である450ボルトまでもスイッチを入れた、というものだった。
これだけの数の人が最大まで電圧を上げたんですね、、、、。
中には電圧を付加した後「生徒」の絶叫が響き渡ると、緊張の余り引きつった笑い声を出す者もいた。
何人かの被験者は実験の中止を希望して管理者に申し出て、「この実験のために自分たちに支払われている金額を全額返金してもいい」という意思を表明した者もいた。 しかし、権威のある博士らしき男の強い進言によって一切責任を負わないということを確認した上で実験を継続しており、300ボルトに達する前に実験を中止した者は一人もいなかった。
責任をとってくれる「権威」があれば、目の前で苦しむ人に電気ショックを与え続けるのですね。
アーレントが訴えた「アイヒマンにならないための方法」
上からの命令に忠実に従うアイヒマンのような小役人が、思考を放棄し、官僚組織の歯車になってしまうことで、ホロコーストのような巨悪に加担してしまう
出典映画「ハンナ・アーレント」オフィシャルサイト「キーワード」 出典blogs.yahoo.co.jp
晩年のアーレント
何人かの被験者は実験の中止を希望して管理者に申し出て、「この実験のために自分たちに支払われている金額を全額返金してもいい」という意思を表明した者もいた。 しかし、権威のある博士らしき男の強い進言によって一切責任を負わないということを確認した上で実験を継続しており、300ボルトに達する前に実験を中止した者は一人もいなかった。人間は誰でも思考を放棄すればアイヒマンのようなことをしでかすかもしれない。
「アイヒマンは、人間の大切な質を放棄しました。思考する能力です。その結果、モラルまで判断不能となった。 思考ができなくなると、平凡な人間が残虐行為に走るのです。 〝思考の嵐〟がもたらすのは、善悪を区別する能力であり、美醜を見分ける力です。私が望むのは、考えることで人間が強くなることです。」
出典www.hannaharendtcenter.org 出典www.knshow.com
アイヒマンはユダヤ人に対し悪意を持つどころか、そもそも自分の考えなど持っていなかったから、それが出来たのだということですね。 ゆえに”第二のアイヒマン”にならないためには、「自分の頭で考えることを止めないことだ」とアーレントは訴えたのです。
tps://sanmarie.me/hannah-arendt/より引用終
アイヒマン裁判において明らかにされた、直属の上司及び制度だけに配慮した生き方を貫いたアイヒマンは、現代社会の役人気質、サラリーマン気質と、どこかシンクロするところが多い。命令に従い、法に従い、制度に従い、定説に従い、忖度し、空気を読み、感情を排除するためには、考えないことを選択する。それが理不尽または不条理であっても、常に上司の顔色をうかがうことに集中し、仕事による組織外の人間には全く目を向けることなく、まるで組織外の人間は同じ平等な人間と考えていないかのようなふるまいを当然のようにしている人に時々出会うことがあるのではないでしょうか。命令や法に従うことは善であると言い切るアイヒマン。そしてそれを善しとする社会、そして大衆が牽引したヒトラー政権下でのユダヤ人大量虐殺の事実は、決してヒトラーやアイヒマンだけの罪だけではなかったのでは?と投げかけるハンナ・アーレント。
そして、上記のミグラム試験での実験結果が明らかにするように、人間は責任を取ってくれる「権威」には簡単にコントロールされ「思考停止」に陥り、非人間的な行為すら行ってしまう、ということがわかり恐ろしくなります。サイコパスと呼ばれる人たちもこれと酷似しています。私たちがそれを阻止するのは「考え続ける」ということしかないのです。「思考停止」や「無思想」は楽かもしれませんが、自分を乗っ取られてしまうことを肝に銘じるべきなのではないでしょうか。
強権が故の忖度政権下の森友学園と加計学園を置き去りにしたまま、政権選択選挙へ突入した今、それらの問題をうやむやにしたい自民党安倍政権打倒を目指して、小池新党「希望の党」が突然出現したものの、「希望の党」もやはり強権的思考がちらほらと見え隠れし、内部から離脱者が現れる始末。政治の世界は、やはり権威主義から離れられないのかもしれない、というよりも日本人の血に権威主義志向が植えつけられ、ドイツの民衆が熱狂的にカリスマヒトラーのブラックホールに自ら近づき巻き込まれることを選択したように、日本人にもちょっとしたきっかけで、同じような行動を起こさせる要素があるのではないかと、つくづく感じてしまいます。一体私たちは何を選択すべきか?今一度自己の中に問いかける必要があるのでは・・・・・・・完
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