新世代が解く!ニッポンのジレンマ「経済のジレンマ大研究@阪大」
5月28日(日) 00:25〜01:25
経済学の基本を今一度学び直し、現代の経済が直面する問題、経済のジレンマを考える、阪大での特別ゼミ。オランダの歴史家でジャーナリストのルトガー・ブレグマンも登場。
番組内容
「経済学の父」アダム・スミスが唱えた「見えざる手」は今どこまで機能する?それぞれが利潤最大化を目指せば社会全体の成長、発展が実現するという思想は今も有効か?成長と格差のジレンマを解く為の方法は? グローバル化が進み複雑化する世界経済の中、どんな考え方で経済現象と付き合うべきか?安田洋祐准教授の大阪大学のゼミで考える経済のジレンマ。オランダの気鋭の歴史家でジャーナリストのルトガー・ブレグマンも登場。
出演者
【出演】大阪大学准教授…安田洋祐,数理哲学者…丸山善宏,歴史家、ジャーナリスト…ルトガー・ブレグマン,【司会】古市憲寿,佐々木彩,【語り】小野賢章
ピケティーに続く新たな提言
GDPはロシア系アメリカ人の経済学者クズネッツによって1930年代発明された。彼がアメリカ会議でGDPのコンセプトを発表したときこう言った。「これを進歩の指標には絶対に使わないように、もしも指標にするとしても軍事、広告、銀行などの業界は含めるな、全く価値のないものだから」とね。でも・・・・この通りさ。進歩を測る上では、GDPはおそらく最悪の指標だ。例えば日本での大きな災害、あれはGDPを引き上げた。いろいろなものが再建されることで、経済は大きく成長したことになる。「GDP成長のためにもっと災害を!」ってけいざい学者は言うのかな?進歩や成長というものについて考え直さないといけない。そろそろ、人々の幸福度や仕事のやりがいも測定にいれないといけないし、うつ病や精神ストレス、人間関係も考えにいれないと、もっと多様な指標を考え併せて議論しようじゃないか。
今政治家たちは数字を隠れ蓑にしている。「ほらGDPは成長している、俺に投票しろ」僕に言わせればそんなのおかしい、経済学者に「生産性って何?」と聞けば「それは稼いだお金のことだ」って答えるだろう。ザッツクレイジー!
例えば、スーパーコンピューターで瞬間的な取引ばかりしている・・・・ウオールストゥリートで無意味な仕事をしている人たちだ。数秒の間に売買を繰り返しているだけだ。社会的には全く意味のない仕事で莫大な稼ぎを上げているよ。彼らは生産性が高いって本当に言えるのかな?お年寄りの世話をするボランティアたちの生産性が低いって?あまりにも奇妙だ。「指標」を変えようじゃないか、惑わされてはいけない。主流派のジャーナリストたちは、GDPが上がったとか、下がったとか騒ぐけど、僕のアドバイスは、もしも「GDP」って言葉が聞こえたら・・・・・テレビを消そう。
まず第一にわたしたちが理解しないといけないことがある。歴史的な視野から現在の世界を見るならば、人類は多くを達成したということだ。この200年間で私たちは豊かになり、健康になり、賢くなった。たしかに日々ニュースを観れば嘆きたくなるだろう。ニュースは悪いニュースばかりだと。ジャーナリストたちは例外や汚職や暴力やテロにばかりフォーカスするものだ。でも僕の仕事は歴史家だ、引いた目で大きなビジョンを示したい。
例えば、世界の極度な貧困は大きく減少した。ただいまも世界の多くの人々が極度の貧困で苦しんでいることを忘れてはいけない。日本にもいまだに貧困問題はあるよね。例えば子供の貧困率は16%ほどもある。とても恥ずべきことだと思います。特に先進国では子供は貧困の中では育つことはできません。
アメリカの歴史の中で誰もが忘れているある逸話があるんだよ。実はニクソン大統領は70年代初め、ベーシックインカム施行させる寸前だった。当時はほとんど誰もがベーシックインカムが施行されることを信じ切っていた。有名な差はの経済学者のガルブイスも賛成していたし、右派で新自由主義者のフリードマンも賛成していた。誰もが師事していたニクソンは「僕が大統領になったら実行する」とね。彼の提案は二度議会を通過した。だが、民主党はもっと高いベーシックインカムにすべきだと主張して折り合わなかった。二度ともね。
もう一つの歴史の皮肉はアメリカで行われたベーシックインカムの社会実験だ。結果は文句の付けようがなかった。社会保障費は下がり、犯罪は現象、子供の成績は上がり、人は労働辞めなかった。だけどただ一つ、離婚率が上昇した。50%ほどね。すぐ共和党など保守党は皆「ベーシックインカムは採用しない」と決めた。女性がより独立してしまったら、男性はいい結婚生活を送れなくなる。ダメだとね。こうしてベーシックインカムはアメリカで忘れ去られることになった。だがわずか10年後、ある研究者が当時の統計の誤りを発見した。もしもアメリカがベーシックインカムを採用していたら、影響は計り知れなかっただろう。他の国も同じアイデアを持っただろうからね。私たちはロボット時代なんて待たずに、今すぐベーシックインカムを導入すべきだ。実際40年前すでに実行できていたはずなんだから。歴史から学べる最も主要なことは、現実は変えられるということだ。毎日のニュースばかりに気を取られると悲観的で皮肉屋になってしまう。「これが社会の運命だ」「決して変えることができない」ってね。でも俯瞰して物事を観たり外国を旅したりすれば、社会や人生の在り方にはもっと別の可能性があると気づくはずだ。だから僕は本の中で歴史的事実を持ちだすんだ。観念だけでは人々を説得することはできない。施策は自由だ、事実こそ人々を説得する。ベーシックインカムは過去に実験されて実際にお貧困は減少したんだ。その事実を皆で共有すべきだ。
慶応大学ビジネス・スクールで講演 ベーシックインカム「日本も導入の実験を」ブレグマン氏
https://mainichi.jp/articles/20170517/k00/00m/040/140000c
毎日新聞2017年5月16日 23時21分(最終更新 5月17日 14時02分)
ベーシックインカムについて会場からの質問に答えるオランダの歴史家でジャーナリストのルトガー・ブレグマン氏=横浜市港北区の慶応大学ビジネススクールで2017年5月16日、中村美奈子撮影
必要最低限の生活を保障する収入を人々に支給する「ベーシックインカム」の導入を呼びかける、オランダの歴史家でジャーナリストのルトガー・ブレグマン氏(29)が16日、横浜市港北区の慶応大学ビジネス・スクールで講演した。ブレグマン氏はカナダやフィンランドでのベーシックインカムの社会実験について紹介し、「貧困は国家のコストを増大させている。AI(人工知能)の出現で仕事のあり方が激変する今、日本でも小規模の実験を行うべきだ」と語った。
ベーシックインカムは約500年前、英国の哲学者、トマス・モアが提唱した貧困根絶策。福祉政策をすべてやめる代わりに、国民の権利として現金が支給され、使い道は自由。1970年代にはカナダと米国で社会実験が行われた。その結果、犯罪件数や子供の死亡率、家庭内暴力の件数が減少し、病院の入院期間の短縮や学業成績の向上が見られたという。
この日、ブレグマン氏は慶応大学大学院の岡田正大教授とパネルディスカッションもした。岡田教授が生活保護とベーシックインカムの違いを問うと、ブレグマン氏は「ベーシックインカムは施しではなく人間に対する投資。国民全員に無条件で支給する点が、生活保護と違う」と説明した。また、今年1月にフィンランドで始まった1人600ドルを支給する実験については、「まだしっかりとした結果が出ていないが、被験者のストレスレベルが下がっているといい、大変すばらしい経過だ」と説明した。
質疑応答では財源確保をめぐる質問があり、ブレグマン氏は「財源は国によって違い、税金やファンドなどいろいろな手法がある。処方箋はさまざまだ」と応じた。
ブレグマン氏は著書「隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働」(文芸春秋)の出版を記念し、オランダ大使館の招きで来日した。同書は25日、全国で発売される。【中村美奈子/統合デジタル取材センター】
ノルウェーではなくフィンランドだったんだね。
物事を現実の流れで見るよりも、歴史の流れで(俯瞰して)見るという
意見はいいね。
これ、ずっと残しておくよ。よく記録とっておいたね。
共感いただきありがとうございます。近々彼の本を読み感想をUPしたいと思っています。