安部元首相銃殺事件と統一教会・二つの疑問 後編

考えあぐねて出た答え、それは信仰というよりも「居場所」探しの結果で得た「共に語り合える共通意識を満たせる場への執着」ではないかという思いに至りました。

つまり「生きる場所」といえる場になっていたのではないでしょうか。

教会はその想いを強調するような、サタン(外世界)だの、先祖の怨みだの、地獄に堕ちるだのを吹き込み、信者同士の共通する会話が、あたかも事実のように思い込んでしまう。そして、同時に信者同士が同じような苦しみから救われるために頑張って献金している様が日常になると、そういった仲間があたかも戦友のように感じ、戦友たちとの慰めあいは生きる糧にもなってしまっているのではないかと思えてきました。
「外の人には解らない」という想いは、むしろ信者間の共通認識を高め、内部の絆が深まり却って優越感にまで発展してしまうのではないか?

日本人にとって「信仰深い」ことは、ある意味誇らしいことでもあるのです。
毎日仏壇や遺影の前に、新しい花、新しいお水(またはお茶)、新しいご飯をお供えし、手を合わせ、更には経を唱えることは、そうすることで、災厄から逃れ、平穏な日々を実現できると思い込んでのルーティンになっている人は少なくありません。
また、そうした行為は先祖の霊への敬意を表し、称賛に値する行為と評価されます。

これは「先祖の御蔭」思想ともいえる日本人の根底に根付いた日本的信仰形態です。

この先祖を守るのは旦那寺です。旦那寺では個々の家系を把握し、先祖代々の霊の管理をします。檀家たちは我が家の旦那寺を支えることになり、普請などの際には労や寄付を提供します。葬儀や行事の際にも手伝いに行くことになります。

現在ではその形態が崩れ、檀家も少なくなり、お寺の維持が困難になっています。

一見無宗教に見える日本人の深層には、こういった信仰心が深く根付いていることがわかります。その解りやすい例は「お祭り」です。

祭りはそもそも宗教的行事です。そんな祭りは日本人が最も好む行事なのです。
土地への信仰は氏神を祭る氏社(氏神神社)です。その土地の人々は氏子として神社を支え、共に土地の精霊を守り、災害や気象異変への脅威に備えます。

こうした深層意識を統一教会はうまく利用し、日本人だけに多額の献金を強いて、その全てを韓国本土へ持ち込んでいるようです。

なぜ、日本人だけに献金を強いるのか?
それは戦時中における徴用工、慰安婦問題への償いと理由付けしています。

怨念、地獄、サタンなどの言葉が刻まれてしまった信者たちは、それまでも納得できる正当化された事実になってしまいます。

とにかく死に物狂いで献金をすることが生きる術になってしまい、それ以外には生きる道はなくなってしまっているのでしょう。

本当に怖いことです。この状況こそが本当の生き地獄です。

こうした人たちを山上容疑者のように何とか教会から引き離そうとすると、自ら母親同様の生き地獄に引きずり込まれてしまう結果となるのも解るような気がします。

そんなことを考えながら、山上容疑者のような2世を救う術はないものかと真剣に考えてしまいました。

オーム真理教の場合は、親と子供が逆になって、子度が親を捨てて教団を居場所(生きる場)に選び、外の世界と断絶するという形でした。

いづれにしても、このような家庭内での宗教観の違いを何とかしなければなりません。

勿論カルト集団の取り締まりも大切ですが、宗教は個人的なもので、これまでの日本の風潮のように氏子制度、檀家制度として受け継がれることが宗教の継承という常識になっているのかもしれません。

日本でも表向きは「信教の自由」を唱っていますが、今回の統一教会のような新興宗教においてすら、それが生かされていないのが悲劇の元になっているような気がします。
勿論政治的な力を持った、創価学会でも同様に2世3世が本人の意思とは別のところで生み出されていることでしょう。

こうしてみると、今回の事件を受けて、「宗教」をもっと深く捉え、多様性(ダイバーシティー)の時代にあったあり方を模索すべき時なのかもしれません。

一般に宗教とは,超自然的な力や存在に対する信仰と,それに伴う儀礼や制度をいう。

世界には日常の経験によっては証明不可能な秩序が存在し、人間は神あるいは法則という象徴を媒介としてこれを理解し、その秩序を根拠として人間の生活の目標とそれを取り巻く状況の意味と価値が普遍的、永続的に説明できるという信念の体系をいう。この信念は、生き生きした実在感をもって体験として受け取られ、合理的には解決できない問題から生じる知的、情的な緊張を解消し、人間に生きがい、幸福を与える役割を果たすものとして期待されている。また、信念を同じくする人々が、教会、教団とよばれる共同体を形成する。

[柳川啓一]

宗教とは – コトバンク (kotobank.jp)

宗教(しゅうきょう、(英: religion)は、一般に、人間の力や自然の力を超えた存在への信仰を主体とする思想体系、観念体系であり[1]、また、その体系にもとづく教義、行事、儀礼、施設、組織などをそなえた社会集団のことである[2][3]。なお広辞苑では、「神または何らかの超越的絶対者あるいは神聖なものに関する信仰・行事」、としている[4]。

宗教 – Wikipedia

そもそも宗教とは、安らぎを得ることが目的で、人や自然を超えたものにすがることで、それを満たそう、という思想のもとに、超自然的存在「神」を想定し、それを崇めることです。

そのような思想体系において、霊界とか地獄とか、死後の世界とのつながりを重視し、畏怖するようになったことが、実は問題ではなかろうかと思っています。

科学が万能とは言い切れませんが、少なくとも科学的に考えるこの時代に、なお前時代的な方法でしか苦楽のコントロールができないというのは、少々稚拙ではないかと思うのです。

つまり、人間がもう少し認知的進化を図り、AIを使ってデータ処理することも試みる必要があるのではないでしょうか。

安らぎからますます遠ざかっても気づかないで生き地獄の中で喘いでいるのはあまりにも時代遅れのような気がします。
「あなたの信仰はあなたを幸せにしているか」をAIで精査できれば、迷える羊が救われるのでは。

もし「幸せにしている」のであればその信仰は「あなたにとって有益です」ということになります。信仰の自由を確保した上で、このようなアプリ、またはソフトが利用できれば最高ですよね。

 

親子で争うようなこともなく、たとえ家族間であってもそれぞれの生き方を犯したり犯されたりすることなく、自由に生きられるのではないでしょうか。

それと宗教家がもう少し科学的見地を養うことも必要な気がします。

そういう意味ではチベット仏教のダライラマ14世の公演を聞いたとき、知的好奇心が旺盛で科学と宗教の融合について興味深い講和をされていたことを思い出します。

日本においても新しい世代の僧侶には期待しています。

 

今日、文春がスクープした記事には、このことを裏付ける統一教会幹部の裏話の一部を引用します。

《スクープ映像入手》旧統一教会のフロント組織「勝共連合」会長が安倍元首相との“ビデオ出演”交渉の裏話を激白

元首相をブッキングした梶栗氏の自慢話は止まらない。

「あの皆さん、(安倍氏が講演で)語られた内容、覚えてますか? 本当に立派な内容を語られたんですよ。そこでね、言わんとされているのは、本当に私(安倍氏)が信頼し、ともに日本の再建のために信頼して一緒にできる団体はどこか、というね。こういう角度から私たちに対する信頼を深めてきたと」

そして梶栗氏は、安倍氏との信頼関係は「一朝一夕の話ではない」と強調して、自分がビデオ撮影のあと安倍氏を見送る際に見た「霊界の後押し」について語り始めた。

「8年弱の政権下、6度の国政選挙で……」

「(撮影が)終りまして、玄関からお送りするときに、私は深々と頭を下げました。本当にありがとうございましたと。ところがね、私の横に梶栗玄太郎と久保木修己(統一教会・国際勝共連合、初代会長)が一緒に頭を下げているんです。あ、いつの間にいたんだという感じで。

そしたら、先方も深々と頭を下げているんです。その横に岸(信介)先生と安倍晋太郎先生がね、深々と頭を下げているんです。もう私は鳥肌もんだったです。過去、現在、未来という時世が編み上げられた形で、奇跡的な瞬間は実現しました」

その光景を斜め上から故文鮮明氏が見守っていたという。

「お父様(文鮮明氏)が腕を組んでニッコニコニコニコされてんですよ。もう私もね、鳥肌もんだったんです」

「この8年弱の政権下にあって6度の国政選挙において私たちが示した誠意というものも、ちゃんと本人(安倍氏)が記憶していた。こういう背景がございました」

教団のトップは、表向き事件後に会見を開いた田中富広会長とされているが、筆者は最高幹部2世である梶栗氏が実質的なトップとみている。安倍元首相が暗殺されるきっかけとなったビデオメッセージの依頼主だと梶栗氏が認めていたことは少なくない波紋を呼びそうだ。

《スクープ映像入手》旧統一教会のフロント組織「勝共連合」会長が安倍元首相との“ビデオ出演”交渉の裏話を激白 (msn.com)

記者に対して堂々と死者の霊の話をする幹部に、驚きを覚えました。

とはいうものの、日本人の深層には、このような死者の霊や、神の存在を信じて疑わない人々のほうが多いことも事実です。

岸信介もそういった部類の人だったようですが、安倍元首相も、他の自民党議員もその世界に住んでいるのかもしれません。

 

 

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