『快三昧に生きる』 【25】

 

2020.11.23

「創発」という摩訶不思議な現象が「カオスの縁」によって生まれることがわかりました。
原子が分子をつくり、分子がたんぱく質をつくり、細胞が内蔵をつくり、内蔵が一人の人間をつくり、人間が社会をつくり、国を作る。
最初の原子は、人間社会そして国をつくってしまったどころか、森羅万象をつくってしまったのです。それは決して部品一つ一つを積み上げたものではなく、時に応じて要素が要素以上のものを生み出した結果でした。1+1=2<の繰り返しだったのです。複数の要素が互いに影響し合い全体の性質を作り上げたのです。(=複雑系)

複雑系が研究される分野は多岐に渡り、生物学、経済学、自然、気象現象、コンピューターサイエンス、ニューラルネットワークなどに及びます。

ところで、「カオス」の性質には、初期値をちょっと変えただけで、全く異なる結果を生み出す「初期値鋭敏性」(=カオス理論)というものがあります。

ブラジルで一匹の蝶が羽ばたいたせいでテキサスで嵐が起きる、という「バタフライ効果」を聞いたことがあるでしょうか。
日本流に言うと、「風が吹けば桶屋が儲かる」という諺です。
1、風が吹くと、土埃が目に入り失明するものが増える
2、失明したものは三味線引きをするために三味線を買うものが増える
3、三味線が売れると三味線の皮に使う猫が減る
4、猫が減るとネズミが増える
5、ネズミが増えると、桶をかじられ、桶の消費が増える
6、桶屋が儲かる

これは江戸時代に言い伝えられたことのようで、日本では少し異なる意味合いで使われていますが、因果関係が全くないことが時間経過で起きる、ということです。

バタフライ効果は、更に複雑な要素の相互関係で、「ほんの些細なことが、徐々にとんでもなく大きな事象を起こす引き金になる。」ことを言い表し、アメリカの気象学者エドワード・ローレンツが提唱したものです。

微小な初期条件の違いによって結果に大きな違いを生み出す現象や、予測不能な複雑な現象を扱う「カオス理論」を象徴的に表現したものとして知られています。
土星の輪における重力相互作用や、二重振り子の揺れ、地球の地磁気の動きなどがその例です。

バタフライ効果において、途中経過が何らかの理由でブラックボックスであるからといって、応用する面においてはそのことには問題がない。なぜなら、工学の分野では、原因と結果の因果関係は実験によって証明されているものの、両者に働いている法則が科学的にはわかっていないが実用化されている技術がたくさんあるからだ。
身近な例を挙げよう。冬にセーターを着ると体に「静電気」が発生するが、この静電気がどういう原理でなぜ発生するのか、実は「科学的」に完全には解明されていない。誘電体をこすり合わせたときに帯電する、ということはわかっていても、「なぜ」起きるのかは仮説しかなく明確になっていないのである。
にもかかわらず、経験に基づいた静電気防止技術は「工学的」に実用化されており、生活の中、例えば乗用車に乗る際に感電による痛みを感じないようにしたり、友達の髪の毛をセルロイドの下敷きで逆立てたりする技術に役立てられている。

同様に、原理はわかっていなくとも、原因と結果、つまり「北京で蝶を羽ばたかせる」ことが「ニューヨークで嵐を起こす」事さえ判明しているのなら、この限定された状況に限っては応用が可能なのである。

さうす

今の結果を作っているのは、いくつもの小さな原因の積み重ねである…ということです

ニュートン力学のように、時間経過とともにその状態が変化し、その変化の法則が決定論のような一定法則で与えられ、初期状態が決まればその後の状態も一意に決定されるようなシステム、あるいは、そのようなシステムを扱う数学分野を力学系と呼ぶ[12]。カオス理論は数学的には力学系の一分野である。カオス理論では、ある非線形性を持つ力学系において、初期状態に存在する差が時間経過に従って平均的な指数関数的増加を起こし、無視できないほど大きな差を生むとき、その系は初期値鋭敏性を有するという[13][2][14]バタフライ効果とは、このカオス理論における初期値鋭敏性の寓意的な言い換えである[2][3]。初期値鋭敏性は、カオス理論でカオスと呼ばれる現象の特徴、あるいは定義の一部である[8][注釈 1]。大気運動などは非線形な力学系方程式に従い、なおかつ初期値鋭敏性を有すると考えられている[16]。初期値鋭敏性すなわちバタフライ効果を有するかは、リアプノフ指数が正の値を取るかなどで定量評価される[2]

実在する自然現象に対して力学系の計算モデルを構築して将来の状態を予測するには初期値をモデルに与える必要がある。しかし、実際の予測では予測対象物の観測によって初期値を得るが、この際の観測誤差を無くすことはできない[17][18]。一方、予測のための計算モデルが初期値鋭敏性を有する場合、初期値のどんなに小さな差も指数関数的に増大し得る。したがって、計算モデルから将来の状態を予測しようとしても、短期間の内ならばある程度の精度で予測可能でも長期間後の状態の予測は近似的にも不可能となる[10][19]。このような性質は長期予測不能性[10] や予測不可能性[19] などとも呼ばれる。このような初期値鋭敏性の帰結である長期予測不能性の存在も、バタフライ効果が意味するものである[20][3]

その上複雑系には同期現象という特徴もあります。
多数集まった同一の\モノ”たちが相互作用を及ぼし合うことによってその足並 みを揃えてしまう現象を同期現象という.古くは壁に掛けた2つの振り子時計の同 期が知られているが,今日ではホタルの集団発光,ニューロンの発火,心臓の拍動 など,自然界の様々な場面で発見されている.

Wikipedia バタフライ効果

また、複雑系の特徴に「同期」現象があります。
メトロノームやろうそくの炎が時間の経過で同期する、あの現象です。.

同期現象とは”弱い相互作用による振動体のリズムの調和”のことです。  つまり、”何らかの影響で複数の振動体が同じ振る舞いを起こす”ということです。 例としては、メトロノームの同期や蛍の同期的発光等があげられます。 このように同期現象は物理学や生物学などでも研究が行われています。同期現象の応用例としては、心臓のペースメーカーや通信信号の同期などがあげられます。 また、脳の神経の情報処理にも同期現象が確認されるので、将来の脳型コンピュータでは重要な役割を担うかもしれません。

非線形システム工学研究室 (nagaokaut.ac.jp)

山梨大学と東京大学は10月26日、複数のロウソクを組み合わせた時に起こるロウソク同士の炎が同期振動する現象について科学的に解明したと発表した。

なぜ複数のロウソクの炎の揺らぎは同期するのか – 山梨大などが謎を解明 | マイナビニュース (mynavi.jp)

科学的に証明された「同期」

シンクロニシティといえば、スティーヴン・ストロガッツ氏の「SYNC」です。

「SYNC」では「ヒトは同期を探し求める動物である」(P.410)というフレーズもあり、ヒトの同期現象について科学的な解説を行っています。
「科学的に説明できる」ことは非常に大事だとも言えますね。シンクロニシティ(非常に「意味のある偶然の一致」という現象が起こるということ)のままでは、どうしても神秘主義やオカルト趣味的な文脈でもないと共有が難しかったものが、ローコンテクストに「こういう理論で同期する」という理論として共有できることは大事です。

キスに至るシンクロニシティと同期の科学 | Heartlogic

多元的なシステムはそれぞれが関係しながらも、自立し上下関係がなく、それぞれが生命体のように自己創出していくものです。

個と個が同期(共鳴)を生み出すことによって,「自己組織化」と「進化」を促していく。
この創発現象によって、成立する世界が私たちの棲む世界と言えます。

要するに、この世界のすべてが「関係性」で成り立っている、ということになります。

これは仏教の真理を説明する「縁起」の教説とシンクロし、他との関係が縁となって生起するということ。全ての現象は、原因や条件が相互に関係しあって成立しているものであって独立自存のものではなく、条件や原因がなくなれば結果も自ずからなくなるということを指す。仏教の根本的教理・基本的教説の1つであり、釈迦の悟りの内容を表明するものとされるものです。(私たちの日常において用いられている仏教語の中で、これほど誤解されて用いられている言葉も珍しい)

そして、その関係性を創り出しているのが個々の「無意識」ということです。

関係性である以上、常に変化し続けます。
「○○とは?」を説明するとき、このように時々刻々変化している状態の中のどの状態を指すのかということを確定することはできないのです。それ以前に○○に関わっているすべてを明確に表示することも不可能です。なぜなら先述したように、現時点の○○の全体構造は過去の時間経過の中で、部分や集合が複雑に相互作用し、総和以上の結果を創出したものということなので、プロセスのすべてを知ることはできません。

人間にはそもそも選択の余地などなく人間の意志の結果も決定論的である、という説もありますが、本書は上記のような科学的理論を採用する、「万物は流転する」の非決定論的立場にあります。

どちらが正しいという問題ではなく、先述しましたように、私自身が「運命」という決定論を信じて諦めてしまい、苦難を受け入れ投げやりになっていた時代に、不本意に大切な時間を無駄にした経験があるからにほかなりません。

現在、運命論などの決定論の立場にあって、それなりに幸せを享受されておられる方には、決して押し付けるつもりはありません。そのままそれを貫いて頂きたいと思います。

人類の歴史から、これまでになかった仮説を提唱し、世界で著作累計2000万部のベストセラーとなり、今も尚売れ続けている、ユバル・ノア・ハラリ氏による「サピエンス全史」によれば、人間が運命や宗教、支配の構図などのヒエラルキー的フィクション文化を作ったのは「農業革命」が原因だった、と述べています。

農業革命によって、作物の所有という手段を知ったことにより、家畜を所有し、奴隷を所有することを肯定する文化が仕上がった、というわけです。そこから「支配」というシステム(ヒエラルキー)が生まれ、その頂点に神を据えたことになります。そしてヒエラルキーの各段階は運命によって決定づけられたということです。インドのカースト制度、中国の農村と都市による身分制度などが残っています。中国では基本的に都市の人は居住地を自由に替えられますが、農村の人は届出制度の為、移動の自由がなく、戸籍のある場所にしか住めません。(都市富裕層と農村貧困層)
これらすべては、人間の「虚構」を創り出す能力という技による、物語(フィクション)という見解を示しています。
このように、人類の他に類を見ない「虚構(フィクションを描く)」能力というものに気づいた今、それに翻弄されるのではなく、人類の好ましい未来の創造に、積極的につかわない方はないと考えます。

そのように考え、これまでお話してきたことをまとめてみると、具体的な策への道が見えてきます。

1、全てのコト、すべてのモノが関係性で成り立っている。
2、人間は「虚構(フィクション)」を創り出す。          
3、私たちは、無意識にコントロールされている。
これらは複雑系(初期値鋭敏性・同期・創発)に関わっています。
1⇒2⇒3⇒1⇒2⇒3・・・・・・・の循環=「現実」というメカニズムです。

解りやすく言い換えると、自分の行動は無意識にコントロールされ、知らず知らず行動することが多い。一般的に人は、自分には良識があり客観的に物事を判断できるので、「偏見(バイアス)を持っていない」と思っています。しかし、これまでの説明の通り、人間はみな偏見を持っていることがわかりました。 私達はつねに瞬間的に事実やデータに基づかず、そういった思い込みのバイアスで人や集団を判断します。思い込み、 偏見(バイアス)自体は悪くないのですが、十分な根拠なしに行うため、正しくないことが多々あります。そのため、思い込み、偏見はさまざま場面での意思決定にゆがみを与え、まちがった判断に導いてしまうことも多いのです。
その無意識に刻まれる、すべての人、モノ、コトの関わりから上がってきたデータには、自分や周囲が創り出している「虚構、フィクション」も含まれます。

そういった思い込みを自分では正しいと信じ切って行動するため、日々関わる人、モノ、コト、の選択には必ずといっていいほど思い込みが関与する、ということで「無意識にコントロールされる」と言う」結論に至ります。
そのコントロールされた行動によってどんどん関係性を作り、その関係性で自分の現実は成り立っているということです。このようにして出来上がった自分の世界が主観となって、外観を判断する、と言う繰り返しです。そして日々関わる人、モノ、コトが変化しても、無意識に変化がない限り、そのサイクルには大きな変化はなく(閉鎖性による)、他者からはその世界も主観も、その人と同じように見ることも感じることもできません。
そうやって、自分で自分を創っていくのが人間の特徴でることが解りました。⇒自己組織化(この過程では創発現象という、予測しない結果を生むこともあることが加味されます。創発現象は言い換えれば増幅作用ではないかと考えています。))
今の自分の現実は、良いも悪いもみな、そのようにして創られたものであるということです。

ここでその自分で自分を創る特徴に目を向けると、好ましくない行動によって起こるストレスの原因となっている思い込みを探り、無意識を立て直すことで、今のストレスを回避し、好ましい人生を自ら創造できる、ということが可能であるということにもなります。

好ましいフィクションを、好ましくないフィクションと入れ替え、それを信じることで、簡単に好ましいコントロールに変化するということです。その上「同期」まで起こるとすれば、「ハッピー‼ラッキー‼」が集まってくる可能性まであります。

実はそれを実感する経験があるからこそ、この「快三昧に生きる」の連載は必然として書かれたと言えます。

そしてもう一つ大切なことは、これらはみなヒエラルキー構造ではなく、ネットワークで繋がっている構造です。
なので、競争する必要がありません。トランプ派の人たちは利害関係で集まっていると言えます。「損得勘定」です。トランプ氏そのものを表しています。「国際協調なんてくそくらえ、自分たちの国が損をするようなことは一切止め!」というスタンスです。
利己的である故に、「負けたくない」ココロが常にあります。
トランプ氏を見ていると、侘しくなりませんか?人間ってそんな動物じゃなかったはず。どんなに大きな集団でも協力できるのが、他の動物たちとは異なるところだったんじゃありませんか?人類は「物語フィクション」という想像で繋がれるんじゃなかったんですか?と言いたくなります。損得利害で繋がる関係性だけではあまりにも寂しすぎます。そんな人間関係なら遠慮したいとは思いませんか。

 

「快三昧に生きる」【24】

→「快三昧に生きる」【26】

この記事をシェア:

コメントはこちらから

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です