脳と無意識Ⅲ

地位財(物の豊かさ)から非地位財(こころの豊かさ)へ

  内閣府の「国民生活に関する世論調査」によると、1970年前半までは、日本人は「こころ豊かさ」よりも「モノの豊かさ」のほうが重要と考えていました。モノがない時代には、それがたとえ長続きしない幸せだったとしても、地位財(物の豊かさ)を蓄積することの方が、非地位財(こころの豊かさ)を求めることよりも重要だったということです。しかし、1970年代後半に逆転し、差は開く一方になっています。近年は「物の豊かさ」派が30%程度、「こころの豊かさ」派が60%台と「こころの豊かさ」の方が大切だという人の方が圧倒的に多くなっています。

 最近始まったドラマ『家売る女!』で「どん底の経済時代に就職した20代~30代、彼らは理想を持たない、バブル期を知る40代~50代、彼らはあきらめることが人生だと思っている、男たちはみなうわべの平和と建て前が好きだ」というイントロが流れます。現代を象徴する適格な表現だと思いませんか?

 これを聞いても、ひと昔前のような「企業戦士」といわれる人は減少していることを物語っています。インターネットの普及により、ピラミッド型縦割り組織、従来型階層社会から、組織や地域の壁を超え、誰とでもフラットに繋がれる社会へとシフトしているといえるでしょう。

 前野隆司氏は自著『幸福のメカニズム』のなかで、このことはオタクが見直される社会でもある、「オタク」を目指せ!と言っています。

 オタクとは、もともとは自宅にこもって外の人との関係を断ち、好きな趣味に打ち込む人のことでした。多分世界中に同じ趣味の人はいたのでしょうが、なかなかつながれなかった。しかし、今はインターネットがあろ。その気になれば繋がれる。つながってみると、意外と大きな数になる。

 例えば日本人の千人に一人が、あるコアな趣味を持っているとしましょう。一億人の千人に一人というと十万人がネットで綱gルと、これは大きなパワーになる。だから、アニメもメイド喫茶も、まえよりもつながるばかりか、クールジャパンと呼ばれて欧米で脚光

を浴びているわけです。

 フランスやアメリカで毎年行われているジャパン・エキスポは大盛況で、何十万人もの人が集まる。しかし日本人はほとんどいない。欧米の方が日本人そっちのけで、日本のサブカルチャーを楽しんでいる。グローバル・ネットワーク社会とはマイナーだったオタクが世界のどこかで脚光を浴びることのできる時代なんです。・・・・・・・中略

 一億総オタク化(いや、世界的には、七十億総オタク化)を目指す社会です。

オタキフィケーション(otakification、造語)です。極端な話、一億人(七十億人)が全員それぞれの独特なオタク的目標を見つけることができれば、全員が自己実現できます。

価値か負けか゚という画一的な価値判断が無意味な全員自己実現社会です。

 オタクという言葉がお気に召さない方のために別の表現をするなら、一億(七十億)総天才社会です。

 アインシュタインも言っています。『誰もが天才だ、しかし、魚の能力を木登りで測ったら魚は一生自分はダメだと信じて生きることになるだろう』と。魚は魚らしく、自分の天賦の才を見つけ出すべきなのです。

 「天才」ではハードルが高く感じる方もおられるかもしれませんね。「達人」というべきかもしれません。努力の結果みおんながそれぞれに何かを極めるのが「達人」です。

  まったく同感です、私自身もこのような社会の実現を夢見て、そのためにどうするべきかを探求し、少しずつですが前に進んでいる状況です。また著者は言っています。

  世界はもともと多様な部族の集合だった、多様な部族の交流は限定され、文明に集約され、地域間の交流も進んだ。しかし、起源是前5世紀ごろにインド(現在のネパール)で始まった仏教が日本に伝来するまで千年ですよ。ネパールからティベット、中国を経て日本にくるまでw、千年かかっていた。その間に仏教も変化した。時間が多様性を育んできました。しかし、近代以来の大規模化、合理化、効率化はご存知のように画一化を発展させた。日本のどこの都市に行ってもおなじようにコンビニがある。世界のどの都市に行ってもハンバーガーショップがある。そしてインターネットはネパールからもインドからも瞬時に情報を得ることができる。だから世界中の流行をどこにいても享受できます。まさに画一化の進展です。しかし現代人は画一化にうんざりし始めて」いる。人々はもっと個性的でありたいはず。みんなじぶんらしく、自分なりに自分だけの人生をあゆみたいはずです。小さくても自分だけの物語を。

 ほんとうにそのとおりだと感じています。最近の「ポケモンGO」をみても世界中の人々が同じ行動をしているのを見ると恐ろしいとさえ感じてしまいます。それもアプリが出た途端瞬時に世界中の人々に広がる・・・・・・こんな時代が現実になったのです。さらに著者は、

  「自己実現と成長」は決して画一的大量生産・大量消費時代の価値ではなく、むしろアンチ画一、アンチ合理主義、アンチ競争社会の文脈でとらえるべき価値だと思います。

 「できる人間になるために自分を磨こう」みたいな社会迎合主義ではなく(そういう人もいいんですが)自分だけの個性的変化を楽しもうというような意味です。理想的には七十億通りのオンリーワンを見つけ出し、七十億人が、ともに理解し、共有し尊敬しあう世界。楽しいじゃないですか。考えただけでウキウキします。

  ほんとにそうですねー。このように私と同じ世界を夢見、描いている方がいたことに感動し、ご紹介しました。みなさんはいかがでしょうか、共感できる方も多いと思うのですが・・・・興味のある方はご一読下さい。

 「幸せのメカニズム」前野隆司著(講談社現代新書)

 

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