意識のちから

「フィルター」が創る世界(4-2)

4-意識が現実を創る その2『病は気から」

 昨日「病は気から」のメカニズムを北海道大学村上正晃教授により解明、と民放ニュースが報じました。まさしく「意識が現実を創る」ことを示唆した実験結果で、タイムリーな話題です。今日はこの話題についてご紹介します。

北大、「病は気から」の分子メカニズムを解明-ストレス性疾患の根本治療へ
北海道大学は8月16日、ストレスが病気を悪化させる分子メカニズムを解明したことを発表した。

北海道大学は、同大学遺伝子病制御研究所 所長の村上正晃教授らの研究グループが、マウスに慢性的なストレス(睡眠障害等)をかけたあと、脳内に病原性の免疫細胞を移入すると、脳の血管に微小な炎症が誘導され、消化器や心臓の機能障害による突然死が起こることを発見したことを発表した。この成果は8月15日、生命科学の専門オンライン誌「eLIFE」に掲載された [2017/08/16] http://news.mynavi.jp/news/2017/08/16/163/

 

参考図(出所:北大ニュースリリース※PDF)

 慢性的なストレスが、胃腸疾患や心疾患など、さまざまな病気を悪化させることは、「病は気から」という言葉がある通り、経験的に知られているが、その分子メカニズムはほとんど明らかとなってなかった。

 村上教授らの研究グループは、これまでの研究で、多発性硬化症のモデル(実験的自己免疫疾患性脳脊髄炎、EAE)マウスでは、重力や痛みの刺激によって「ゲートウェイ反射」が起こり、特定の神経回路の活性化を通じて、免疫細胞の侵入口が中枢神経系のそれぞれ別の場所の血管に形成されることで、中枢神経系の炎症状態が変化することを発見している。

 グループは、過労による突然死や「病は気から」の原因として認識されている慢性的なストレスが、特定の神経回路の活性化を介してEAEの症状を悪化させるのではないかと考え、その影響や分子機構について調査を行なった。

その結果、ストレスによって神経が活性化されることで、脳内の特定の血管に免疫細胞が侵入し微小炎症が引き起こされる新しい「ゲートウェイ反射」を発見した。この血管部の微小炎症は、通常は存在しない神経回路を形成して活性化し、消化管や心臓の機能不全を引き起こして突然死を誘導した。これは、ストレスが臓器の機能不全を引き起こす理由を示す発見で、同じ程度のストレスでも病気になる人とならない人の違いが、脳内微小炎症の有無によって決まる可能性を示唆している。

 実験では、EAEを発症したマウスを特殊なケージで飼育することで、慢性ストレスの1つである「睡眠障害」を誘導。また別の慢性的なストレスとして、床敷を湿らせたケージでも飼育を行なった。

 前述の慢性的なストレスを誘導したマウスに移入EAEを行なったところ、通常のEAE症状である尾部、後肢の麻痺は起こらず、突然死した。一方、EAE単独もしくは、慢性的なストレス単独では、死亡するマウスは現れなかった。

 突然死の原因を解析すると、人間でも慢性ストレスによって影響を受けやすい臓器として知られる、胃や十二指腸の炎症による出血が引き金となり、心臓の機能が低下したことによるものと判明した。

 EAEの原因となる免疫細胞が中枢神経系のどこから侵入したか解析したところ、通常ではL5背側血管であった侵入口が、脳内の第3脳室、海馬、視床に囲まれた特定血管に移動していることを発見。特定血管周囲で生じた微小炎症により新規の神経回路が活性化し、胃・十二指腸炎症、心機能低下が生じていることが明らかとなった。

 結果、脳内の特定血管に生じた微小炎症が、新規の神経回路を活性化させることで、通常のストレス反応を大きく増強すること、さらに胃・十二指腸・心臓の機能低下を誘導することを示しており、「病は気から」の分子機構の一例を表しているという。

 これまで、慢性的なストレスがどのように多くの臓器の機能を低下させているのかは不明だったが、今回の研究により、脳内に生じた微小炎症が、新たな神経回路を活性化することで臓器の機能を低下させていることが、世界で初めて明らかなった。

 同大学では、多発性硬化症は病気の悪化とともに治療法がまだない進行型になることが大きな問題となっているが、その発症原因や今後の治療法の解明に大きな示唆を与える可能性があり、アルツハイマー病などの認知症患者で見られる脳内微小炎症も、今回の発見と同様に、新規の神経回路の活性化を介して脳を含む臓器機能の不調を誘導している可能性が示されたとしている。

 脳内には異物は侵入しにくい構造になっているそうなのですが、ストレスで免疫細胞が侵入してしまい、脳は免疫細胞を異物と判断しパニックになって、血管炎症を起こす。それが原因となって脳が誤作動を起こし、臓器に影響を及ぼす、ということだそうです。「病は気から」は、ただのガッツでは片づけられなかったのですね。

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グレッグ・ゲイジ: 自分の脳で他人の腕を操る方法

グレッグ・ゲイジ(Greg Gage)は、脳科学(brain science)を皆の手の届くものにすべく活動しています。

ゲイジさんは「私たちの5人に1人(世界の20%)がなんらかの神経疾患を抱えているのです。こうした病気には完ぺきな治療法はありません。ですから、教育課程の早い段階で生徒に神経科学を教えて、将来の選択肢として脳科学者になることを考えてもらえるようにすることです」と語ります。楽しく、ちょっと不思議なデモで、神経科学者でTEDシニア・フェローであるゲイジさんは、シンプルで安価な手作りキットを使って、参加者の自由意思を取り上げてしまいます。マジックではなく、実際にそう機能するのです。百聞は一見にしかず、ぜひお楽しみください。一般の人には難しい神経科学ですが、分かり易くする電子キットの販売をしています。

Website(backyardbrains)では、オープンハードウェアのアルドゥイーノ(Arduino with Pre-Loaded Code.)基板と機能別の基板キットや、ツールを販売。そしてドキュメント、回路図、ソフトウェアなどを公開しています。

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とても残念なことです 私たちの5人に1人― 世界の20%がなんらかの神経疾患を 抱えているのですから こうした病気には 完ぺきな治療法はありません ですから 今 私たちがすべきは 教育課程の早い段階で 生徒に神経科学を教え 将来の選択肢として 脳科学者になることを 考えてもらえるようにすることです

大学院のとき 私は 研究仲間のティム・マズーロと 考えたことがあります 脳の研究に使う複雑な設備を もっとシンプルで 手頃な価格なものにして アマチュアや高校生など 誰もが 学び 神経科学の発見に 携われるようにするのです

そして実際に それを成し遂げました 数年前 バックヤード・ブレインズ社を 立ち上げ 手作り神経科学器具を作っています 今晩 ここにもお持ちしました デモをさせていただきます 皆さん 見たいですか?

どなたか手伝ってください 前までどうぞ お名前は? (拍手) サムです それでは サム これから あなたの脳の活動を記録します 以前にされたことは? ありません 科学のため 腕を差し出して 袖も少しまくってください これから 腕に電極を付けます 不思議にお思いでしょうか 脳の活動を記録するのに なぜ腕なのかと

脳のなかには 約8百億のニューロンがあり 電気信号 そして化学信号を あちこちに送ります ここの運動皮質にある ニューロンの一部は こんな風に腕を動かすときに 信号を送ります 信号は 脳梁を通って 脊髄から 下位運動ニューロンへ そして この筋肉まで来ます その放出された電気を こちらの電極で キャッチするわけです そして 脳が活動する音も 聞くことができます ちょっとの間 これをオンにしますね

脳の音がどんなか 聞いたことありますか? ありません それでは やってみましょう さあ手を握って (ガラガラ鳴る音) 今 耳にしているものが ちょうどここで動いている 運動単位です 今度は見てみましょう こちらで― アプリを起動します では 握ってください (ガラガラ鳴る音)

ここが 運動単位で 脊髄から ここの筋肉まで 来ているものです 彼女が動かす間 ここで その電気活動の様子を 見ることができます ここをクリックして 1つだけ見ることもできます 強く握り続けてください こちらが 脳の中で活動している 運動単位活動電位の一つです

もっと見たいですか? (拍手) こちらも面白いですが さらに良いものです もうお一方 お手伝いをお願いします お名前は? ミゲルです ミゲルですね こちらにお立ちください こんな風に腕を動かすとき 脳は こちらの筋肉まで 信号を送っています 腕を動かしてください あなたの脳は 筋肉に 信号を送っています ちょうどここにある神経は こちらにつながり この3本の指を刺激します この神経は 皮膚に近い場所にあるので そこに刺激を与えて こんなことができるのです あなたの脳が手に送っている信号を ミゲルの手に伝えると ミゲルの手は サムの脳が手に指示したのと 同じ動きをするのです ある意味 彼女が あなたの自由意思を取り上げ あなたは この手を コントロールできなくなります 大丈夫ですか?


あとは あなたを 接続するだけです (笑) さあ 尺骨神経を探しましょう このへんに あるはずです 登壇いただいたときは 何をするのかわからなかったでしょう 登壇いただいたときは 何をするのかわからなかったでしょう さて こちらに移動して それを 人間と人間をつなぐ インターフェースに接続します

サム 手を握ってください もう一度 完ぺきです 今 あなたを ここにつなぎます― 最初は変な風に感じるでしょう ちょうど―(笑) 自分の自由意思を失い 他人に操られるのは ちょっと変な感じです

手をリラックスさせて サム いいですか? これから手を握ってもらいます まだスイッチを入れていません 握ってください

ミゲル 準備はよいですか? 準備万端です オンにしました では手を返して 何か感じますか? ―いいえ ではもう一度 ―ちょっと ちょっと?(笑) リラックスして もう一度してください (笑) 完ぺき 完ぺき リラックスしてもう一度

いいですね あなたの脳は あなたの腕だけでなく 彼の腕もコントロールしています どうぞ もう一度やってください 完ぺきです(笑)

では もし私があなたの手を 動かしたらどうなるでしょう? 手をリラックスさせて どうなりましたか? 何も起こりません なぜでしょう 脳が動かさないといけないからです もう一度してください いいですね 完ぺきです

お二人とも いい運動をしてくれて ありがとう これが世界中を席巻しつつある― 電気生理学です! これから 神経科学に 革命を起こしますよ

ありがとうございました

(拍手)

 

Comment

野宮

個人によって違うのでしょうが、何がストレスなのか、ある程度自分自身で認識しておかなくてはなりませんね。
これはなかなか難しい問題だ。

返信
myosho

それは問題の一つですね、ストレスをストレスと意識(認識)できなければ、対処できませんよね。そこに「フィルター」の重要性があると思うのです。日頃から自分の思い癖、思い込みなどを把握する必要があるということですね。

返信

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