「フィルター」が創る世界(2-2)

脳は自ら再配線する―その2

「社会通念」に侵されたフィルター
 私たちは歳をとればとるほど、社会通念が「フィルター」を固定します。社会通念上では、未だ脳は老化の一途をたどると考えられています。年齢を重ねると脳細胞は絶えず死滅し再生しない、と。そんな固定された社会通念を重視する私たちの「フィルター」から構築し直さなければなりません。脳に関することだけではなく、ほとんどの社会通念というものは、古いまま固定されていることが多く、私たちの潜在意識の中で不安を煽って操っていることを認識すべきではないかと思います。
 実は、高齢になればなるほど若々しくありたいという気持ちが高まり、脳は明らかにそれと歩調を合わせている、とチョプラ博士は語っています。実際自分が高齢になってみてそれを実感しています。

 『SUPER BRAIN』(ディーパック・チョプラ著)より
 同じ遺伝子を持って生まれた一卵性双生児でさえ、70歳になると遺伝子の活性パターンは大きく異なり、それぞれが選んだ生活スタイルの結果が身体にも劇的な違いとして顕れる。その違いは、二人の生まれ持った遺伝子に足し引きされたのではない。そうではなく、生活のほぼすべての側面(食事、活動、ストレス、人間関係、仕事、物理的環境)が、二人の遺伝子の活性を変化させたのだ。そういう意味では、老化のどの側面をとっても回避は可能だ。身体的機能だろうと精神的機能だろうと、年齢を重ねるほどに機能を向上させている人々がどこかにいるのだから。株式仲買人の中にも、都市を追うごとに記憶力を高めながら複雑な取引を行っている90代の現役が何人もいる。
 問題はこれまでの社会通念に固執する人があまりにも多いことだ。
高齢になるにつれて無精になり、学ぶことに無関心になる傾向が私たちにはある。わずかなストレスで苛立ちやすくなり、そのストレスが長く後を引くようになる。かつては「年寄りの我儘」として片付けられてきたが、今ではその原因を「心と脳のつながり」にまでたどることができる。中略

 心と脳のつながりにおける主導権は、心に握られている時間の方が長い。高齢になるにつれ、私たちの精神活動は単純化される傾向にあり、防御メカニズムや安心感を与えてくれるものに向けられることが多い。知っているものに安心感を覚え、何か新しいことを学習するのを全力で避けようとする。こうした年配者の行動は短期や頑固として若い人を悩ますが、その本当の原因をたどっていくと、心と脳の主導権争いに行きあたる。

 博士の言う「心」は「感情」なのかもしれません。その大元はやはり「フィルター」です。何を信じ
(自己、社会通念)、何を好み(勝つこと、戦わない)、何に幸福を感じ(富、称賛、自由・・・)
怖がりかプライドが高いか、等々。怖がりやプライドの高い人は防御反応が敏感になり、身体も常に防御態勢(背を丸め)になるでしょう。逆に挑戦することを好み、バンジージャンプや絶叫マシンに挑む人は、怖い体験でアドレナリンを分泌させることを身につけ、アスリートの人たちも同じ系で喜びの体験をしているのでしょう。怒りも妬みも怖れも、そういった感情の発露の源が「フィルター」を構成して行動を選択しているということです。こうして「感情」は脳の学習に強い影響を与えるようです。ということは、豊かな感情こそ、脳の回路を再生し、潜在意識の内容を書き換えるキッカケともなるのでしょうか。高齢になって脳が衰えるのは、無関心、無感動などによるものであるとともに、そのことが防御態勢を強めて、より積極性を損なうというスパイラルに陥るのではないでしょうか。「新しい選択」こそ若返りの秘訣かもしれません。

 感情ほど記憶を確かにするものはない。若いうちは学習する情熱と熱意が自然に備わっているため、子どもは苦も無く学習するものだ。喜びや驚きの感情も、恐怖や不安の感情も、学習を今日かする。感情によって記憶はしっかりと固定され、一生忘れないことも多い。
 子どもに対して働くこのような感情要素は時には大人にも働く。強い感情が鍵になることも多い。9.11のテロ事件がおきたときに自分はどこにいたのかは、誰もが覚えている。
 ちなみに私はドイツで娘の出産に関わっていました。その時TVのニュースに釘付けになったことを強烈に記憶しています。あなたはどこで何をしていたでしょうか?
 脳機能という観点で言えば、記憶の全貌は未解明だ。このため、なぜ、強い感情が極めて詳細な記憶を生じさせるのかは、わからない。また反対に、強い感情が記憶を喪失させることもある。例えば幼少期の性的虐待による強烈なトラウマの場合、集中治療や催眠療法を受けない限り、失った記憶はなかなか取り戻せない。このような問題は、いくつかの基本的な疑問に答えが出るまで解決できない。記憶とは何か?記憶はどのようにして脳に蓄積されるのか?脳細胞の内部に記憶の痕跡が物理的に残されるのだとすれば、どのような痕跡が残されるのか?これらの疑問に答えが見いだせるまで、私たちは行動と期待が鍵を握ると信じている。子どもがそうであるように、あなたも今一度、情熱と興奮をもって学習に向き合うようにすれば、樹状突起とシナプスが新しく形成され、若い頃と同等の強い記憶力をもう一度取り戻すことができる。また、積極的な働きかけ(過去を正確に主出すために、時間をかけて記憶をたどるなど)を通じて古い記憶を呼び起こせば、新なシナプスが創られ、古いシナプスも強化されるため、それ以降同じ記憶を思い出す確率は高くなる。
 すべては脳のリーダーであり使用者であるあなた次第だ。あなたは、脳を超えた存在である。あなたは脳に支配されているのではなく、あなたが脳を支配しているのだ。このことを決して忘れてはならない。

ウィキペディアより

Plutchikの感情の輪

1980年にRobert Plutchikは「感情の輪」を提示した。これは8つの基本感情と、二点の組み合わせからなる 8つの応用感情から成り立つ。[1]

基本感情

反対の感情

喜び (Joy)

悲しみ (Sadness)

信頼 (Trust)

嫌悪 (Disgust)

心配 (Fear)

怒り (Anger)

驚き (Surprise)

予測 (Anticipation)

悲しみ (Sadness)

喜び (Joy)

嫌悪 (Disgust)

信頼 (Trust)

怒り (Anger)

心配 (Fear)

予測 (Anticipation)

驚き (Surprise)

 

 

 

応用感情

構成

反対の感情

楽観 (Optimism)

予測 (Anticipation) + 喜び (Joy)

失望 (Disappointment)

(Love)

喜び (Joy) + 信頼 (Trust)

自責 (Remorse)

服従 (Submission)

信頼 (Trust) + 心配 (Fear)

軽蔑 (Contempt)

畏怖 (Awe)

心配(Fear) + 驚き (Surprise)

攻撃性 (Aggressiveness)

失望 (Disappointment)

驚き (Surprise) + 悲しみ (Sadness)

楽観 (Optimism)

自責 (Remorse)

悲しみ (Sadness) + 嫌悪 (Disgust)

愛 (Love)

軽蔑 (Contempt)

嫌悪 (Disgust) + 怒り (Anger)

服従 (Submission)

攻撃性 (Aggressiveness)

怒り (Anger) + 予測 (Anticipation)

畏怖 (Awe)

 

 

感情

崇拝諦め驚き楽しみ悲しみ怒り苦悶いらだち不安覚醒魅力優しさ慈悲軽蔑満足敗北落胆意気消沈欲望希望絶望失望無念嫌悪恍惚状態困惑熱中嫉妬 (ジェラシー)・羨望劣等感多幸感興奮恐怖フラストレーション罪悪感幸福憎悪怨みホームシック敵意ヒステリー心酔情緒不安定プレッシャー(重圧)侮蔑激昂孤独寂しさ憧れ愛憎性欲メランコリーパニック情欲プレジャー傲慢残念拒絶良心の呵責ルサンチマン羞恥心人見知り衝撃悲痛悔しさ後悔悪意善意同情共感 (シンパシー)・哀れみ苦しみ驚愕スリル執念心配熱心熱意シャーデンフロイデメシウマ(ネットスラング) 他人の不幸を喜ぶ・サウダージ切なさ・アンビバレンス相反する感情、態度

 

 

 

世界観

感傷主義 センチメンタリズム」
両立主義 決定論と自由意思は両立可能と考える
実存主義 「我思う、ゆえにわれあり」の立場。認識する人がいるから世界は存在する
宿命論
非両立主義
形而上学
 有形の現象の奥にある世界を探求する学問
ニヒリズム
 既成の様態をことごとく否定する立場
楽天主義
悲観主義

世捨て

社会正義

ベルトシュメルツ
 悲観的世界観・厭世主義

 

 

 

 

 

Comment

野宮

老いが進むほど、夢中になれる何かを求めなければ。
それが行動を伴うものでなくてもいいわけですね。
感情(脳)を使って求め続けられるものであれば?

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myosho

喜びや感動、ワクワクなどポジティブな感情と脳の活性が密接に関連しているようですね。楽しむことの上手い人ほど長生きということかしら?お互いこれからも大いに楽しみましょう‼

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