2023年1月

通念・常識に操られやすい日本人

日本中が10年に一度と言われる強烈寒波に襲われ、寒さ対策をTV各局の番組が取り上げるようになりました。
この寒さ対策や、住宅の断熱などに注目されたことで、日本の住宅の『冬季の室温』について触れられ、日本の住宅の多くはWHOの推奨する室温18℃に満たされていないことがわかりました。 

WHOでは、冬期の室温18以上を確保することを推奨しているが、日本の住宅の多くがこのレベルを満たしていない懸念があることが、(一社)日本サステナブル建築協会の調査で明らかになった。(一社)日本サステナブル建築協会が調査報告  Avatar photo  Housing Tribune 編集部・中山

WHOでは、冬期の室温18℃以上を確保することを推奨しているが、日本の住宅の多くがこのレベルを満たしていない懸念があることが、(一社)日本サステナブル建築協会の調査で明らかになった。(一社)日本サステナブル建築協会は、「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査 第5回報告会」を開催した。

同協会のスマートウェルネス住宅等推進調査委員会では、国土交通省からの支援を受け、断熱改修前後で居住者の健康状態などがどう変化するのかといった調査を進めている。
2019年3月末までに4147人、2318軒の改修前における健康調査を行い、2020年3月末までに2323人、1303軒の改修後の健康調査を行うなど、世界的に見ても類を見ないほどの大規模な調査になっている。
第5回報告会では、断熱改修によって住宅の温熱環境が改善されることによって、血圧の上昇や血圧変動性の抑制、過活動膀胱・睡眠障害などの改善といった効果を得られることなどが報告された。

また、改修前の住宅のほとんどが、WHOの推奨する冬期の最低室温18℃という基準をクリアしていないことも分かった。

WHOでは、居住者の健康被害を予防する観点から、冬期の室温を18℃以上に保つことを推奨しており、小児・高齢者はもっと暖かくすることが必要であると指摘している。
しかし、同協会の調査結果によると、在宅中の居間の平均室温が18℃を下回る住宅が全体の59%もあったという。在宅中の最低室温では91%の住宅で18℃を下回っているのが実情だ。最低室温の平均値は12.6℃となっている。

こうした状況を招いている要因のひとつが住宅の断熱性能不足だと推測でき、スマートウェルネス住宅等推進調査委員会の村上周三委員長は、「日本の住宅は量的には充足しているが、質的にはいまだに十分なレベルに達していないと言わざるを得ない。その結果、居住者にネガティブなど影響をもたらしているというエビデンスが、我々の調査結果から明らかになっている。こうしたエビデンスを広く発信し、日本の住環境に対するパーセプション・ギャップ(認識のずれ)を是正していくべき」と指摘している。

日本の住宅、WHO推奨の最低室温に満たないものが多数 (sohjusha.co.jp)

海外から訪れる人たちの間では“日本の家は寒い!!”という定説があると言われています。最低室温平均が12.6℃では、寒いはずですよね。
その原因を探ってみると「冬は寒いもの、気合だ!!」「むしろ子供は冬でも半袖、半ズボン!!」といった風潮が最近まであって、その根底には日本人の『我慢強さ』を美化した日本文化にあることがわかりました。

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選択が未来を創る

 

先回に続き『選択』の問題をもう少し深堀してみようと思います。

私たちは日々刻々、選択の連続に明け暮れています。極端に言うなら「選択こそ人生」と言っても過言ではないでしょう。

先回の冒頭で「すべての行動は自らの選択⇒自己の未来を創造している」と記しました。
そう、「選択によって個々の未来は創造される」ということを再認識していただくことで、積極的に『選択』を意識し、より豊かな未来の創造へお役に立てればと思います。

さて、先回ご紹介した引用サイトでは「選択と決断」についての理論と根拠について詳しく見てきました。また、人は決断力よりも選択力を養うことの重要性について、そして、選択力を養うにはリサーチ力を鍛えるべきという見解を示されていました。

最後の「リサーチ力」については少々異論がありますが、それについてはおいおい触れてゆきたいと思います。

さて、最初にこの『選択』という行為についてですが、日本人(特に古い日本人)は、どうも不得意とする行為ではないかと思っています。

何らかの選択を迫られたとき、皆さんは一人で考え込みますか?それとも周囲の人たちの様子をまず伺いますか?

実は、多くの日本人は後者のように周りの選択を気のする人が多いのではないかと思うのです。

それは、日本文化の『一様性』という、みんな一緒、足並みをそろえる、もしくは「普通は?」とか「一般的には?」などの思考形態によるものと思われます。

つまり、自分で考える前に周囲の人々の選択を見ながら、同調することで、マジョリティーの仲間を維持し、決してマイノリティには属さないという姿勢です。

選択の中身よりも同調のほうが重要な文化。
『同調圧力文化』ともいうべき社会の中で長く生きて学習した結果です。

そのおかげで、私たち日本人は自分の考えを持たないほうが同調しやすいことを学習し、自由意思を持たない選択をしてきたといえます。

自己を主張したり、自ら自由に選択する行為という習慣は身についていないため、どうしても自分だけでは選択も決断も困難というのは当然の結果と言えますね。

NHK大河ドラマ『どうする家康』が始まり、家康の優柔不断さが描かれていますが、大変興味深く見てしまっています。

先回の紹介記事の「リサーチ能力」という解決法は、こういった習慣の延長として挙げられるべくして挙げられたと感じています。

これは、対症療法にはなっても原因療法にはならないのではないかと、私自身は感じています。
このようなやり方自体が日本人的と言えるのかもしれません。なぜなら、「自分の考え」を持たないままでは、いつも他者の意見をリサーチする必要があり、その他者の意見が多様である場合、余計に混乱を引き起こしてしまいます。

グローバル社会の影響によって「ダイバーシティー(多様性)」という概念が浸透してきた現代社会において、自己の確立ができないままでは、ダイバーシティー&インクルージョン(多様性を包括する)渦からはじき出されてしまうのではないでしょうか。

「ダイバーシティー(多様性)」も本来の意味は、単に性差別や人種差別をしないだけではなく、個々の思考、観念の違いを認め合い尊重しあうことなのです。

そもそも個々の思考,観念が確立していない者にとって、ダイバーシティー(多様性)を深く理解し、インクルージョン(包括)できるはずがありません。

そして「選択」はそのようなダイバーシティーインクルージョン下での行為としては必要不可欠なものになってきているといえるのではないでしょうか。

多様な人材に活躍してもらうダイバーシティ&インクルージョンの考え方が注目されている背景には、外部環境の急激な変化があります。

具体的には、少子高齢化に伴う働き手の減少、顧客ニーズやリスクの多様化などが挙げられます。

また、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組む中小企業は、そうでない企業と比較して、主たる経営成果のすべての項目において、効果的な結果を上げていることが示されており、競争優位性を築いていくために必要不可欠な考え方であるといえます。

ダイバーシティ&インクルージョンとは?意味や導入方法、事例を紹介 | ツギノジダイ (asahi.com)

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