2016年8月

意識のちから

脳と無意識 まとめ

先回紹介しました「幸せのメカニズム」著者前野隆司の研究所、慶応義塾大学 ヒューマンラボ研究生の修士論文は前野氏も著書の中で参考にしているものです。その中で私の印象に残っている論文の最後の一部を紹介し、まとめとしたいと思います。 

 慶応義塾大学 ヒューマンラボ 修士論文   『幸福・性格・欲求の調査アンケートに基づく 幸福感の関係解析   』蓮沼 理佳 指導教員 教授 前野 隆司  2012 年 3 月 

http://lab.sdm.keio.ac.jp/maenolab/RikaHasunuma_masterthesis.pdf

第 6 章   結論と今後の課題

 幸福な人は、一部の心理学的特性を持っているのではなく、実際にはすべての特性を万遍なく持っていた。つまり、幸福な人はバランスよく心理学的特性を満たしており、様々な物事に対して好奇心を持ち、常に前向きな姿勢であることが分かる。また自分ひとりで幸福感を得ることは難しく、幸福にとって他者との関わりは切ってもきれない関係であるということが分かった。なお、今回の調査では心理学的特性を満たしているから幸福なのか、幸福だから満たしているのかは明確になっていないため、今後の分析が期待されるところである。

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意識のちから

脳と無意識Ⅲ

地位財(物の豊かさ)から非地位財(こころの豊かさ)へ

  内閣府の「国民生活に関する世論調査」によると、1970年前半までは、日本人は「こころ豊かさ」よりも「モノの豊かさ」のほうが重要と考えていました。モノがない時代には、それがたとえ長続きしない幸せだったとしても、地位財(物の豊かさ)を蓄積することの方が、非地位財(こころの豊かさ)を求めることよりも重要だったということです。しかし、1970年代後半に逆転し、差は開く一方になっています。近年は「物の豊かさ」派が30%程度、「こころの豊かさ」派が60%台と「こころの豊かさ」の方が大切だという人の方が圧倒的に多くなっています。

 最近始まったドラマ『家売る女!』で「どん底の経済時代に就職した20代~30代、彼らは理想を持たない、バブル期を知る40代~50代、彼らはあきらめることが人生だと思っている、男たちはみなうわべの平和と建て前が好きだ」というイントロが流れます。現代を象徴する適格な表現だと思いませんか?

 これを聞いても、ひと昔前のような「企業戦士」といわれる人は減少していることを物語っています。インターネットの普及により、ピラミッド型縦割り組織、従来型階層社会から、組織や地域の壁を超え、誰とでもフラットに繋がれる社会へとシフトしているといえるでしょう。

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意識のちから

脳と無意識Ⅱ

幸せな人は健康で長生き

申すまでもなく、幸せな人は概ね健康で長生きできることが知られています。日本人の場合、「富」に幸せを求める人が多いように感じていますが、それを裏付けるデータがありました。
以下引用『幸せのメカニズム』前野隆司著(講談社)より

 調査会社間カンター・ジャパン2012年調査

16歳以上の男女を対象に財産の所有と幸福感に関して「もっと多くの財産があれば幸せなのに」と思う人(非常におもう・やや思う・と回答した人の合計)は、

 ロシア(70%) 中国(70%) 日本(65%) イタリア(36%)
フランス(35%) スペイン(27%) アメリカ(16%)
という結果を示しています。

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意識のちから

脳と無意識

脳と無意識 
「受動意識仮設」という言葉が飛び交い、興味をそそられ調べてみたところ、前野隆司(慶応義塾大学教授)氏がロボット工学の研究途上で人間の意識に関する仮設として産み出したものということでした。

 「受動意識仮設」とは、脳の機械的動作を言い、人間のイシキというものは、ただ見ているだけ、ただ感じているだけで、何の決定権もなく、脳が機械的に動いて決めたことを、自分の自由意志で動いていると勘違いしているだけの哀れな存在にすぎないというのです。

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