真実を見抜く一人の声が、集団の幻想を覚ます 

『隷属なき道』(続)

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第10章 真実を見抜く一人の声が、集団の幻想を覚ます まとめ

・1954年12月21日に洪水が来て世界は滅亡する。そう予言した主婦とその信者10名がいた。洪水は訪れなかったが、信者たちは「我々小さなグループが地球を救ったのだ」と言い、自らの世界観を改めるより現実を再調整することを選んだ。

・この出来事を観察していた心理学者のフェスティンガーは「認知的不協和」という言葉を創り、深く信じることが現実と対立すると、人はそれまで以上に頑なに自らの世界観を信じると論じた。

・同じ頃、心理学者アッシュは、集団の圧力がかかると人はその目で見ていることが見えなくなることを実証した。集団の他の人たちが同じ答えを出すと、明らかに間違っていても、被験者も他の人たちの答えに倣うのだ。

・だがアッシュは別のことも発見した。それは反対する一人の声がすべてを変えるということだ。彼の実験では、集団の中に一人でも真実を語る人がいれば、被験者が自分の眼で見たことを信じる可能性が高まった。これを、荒野で一人叫んでいるように感じている全ての人への励ましとしよう。

・現在も銀行部門の根本的改革はまだ行われていない。ウォール街では、銀行員はリーマン・ショック以降で最高額のボーナスを得ている。そして、銀行の準備金はこれまでと変わらずわずかだ。われわれには単に代案がないだけなのだろうか。

・新自由主義思想を世に広めたハイエクとフリードマン。ニューディール政策により、米国でさえ社会主義的な方向に向かっていた1940年代後半に、スイスのモンペルランの小さな村に集まり、自由市場を守ろうと声を上げ始めた。

・「誰にとっても、自分の信念が、今のそれとは異なる状況を想像するのは非常に難しい」とハイエクは言った。「新しいアイデアが広がるのに、一世代かかることもある」。だからわたしたちは、「ユートピア主義者になる勇気」を備えた忍耐強い思索家を必要とする。

・アイデアは、どれほど途方の無いものであっても、世界を変えてきたし、再び変えるだろう。「実際」、とケインズは記した。「アイデアの他に世界を支配するものはほとんどない」

 ― エドゥアルド・ガレーアーノ(1940~2015) ―
ユウトピアは水平線上にある。私が二歩近づくと、それは二歩下がる。もう十歩近づくとさらに十歩遠ざかる。どれだけ歩いても決してたどり着けない。では、ユートピアに何の意味があるのだろう。答えはこうだ。歩き続けよ、とそれは教えてくれるのだ。

『隷属なき道』p236~238より引用

 

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