GDPの大いなる詐術

『隷属なき道』(続)

 

 第5章 GDPの大いなる詐術 まとめ

 ・GDPは進歩の計算も苦手だ。コンピューター、カメラ、電話は洗練されたが数字には反映されない。さらに、無料の製品となると、経済の首相という評価をもたらしかねない。例えば、Skypeのような無料電話サービスは、通信企業の収益を大幅に損なっている。加速度的な進化にも関わらず、情報部門がGDPに占める割合はインターネットがまだ普及していなかった25年前から変わっていない。

・1932年、不況の底にあった米国は優秀な若いロシア人教授、サイモン・クズネックを雇い、米国はどれくらい多くのモノを生産することができるか、というシンプルな問いの答えを探させた。クズネッツは数年かけて、後にGDPとなるものの基礎を築く。その貢献によりクズネッツは1971年にノーベル経済学賞を受賞する。

・GDPは戦時における国力の優れた指標であった。

・1950年代までに全米経済研究所は、5000人もの経済学者を雇う。テクノクラート(高度な専門知識を持つ官僚)の新しい世代がGDPをベースとして「経済」を「成長」させるという新しい目標を考案した。

・問題は今日のサービスを基盤とする経済においてもGDPが進歩の基準として用いられていること。健康管理から教育、ジャーナリズムから金融に至るまで、以前として、その「効率」と「収益」に目を向ける。あたかも社会がひとつの巨大な生産ラインであるかのように。だがサービスの分野では、単純な定量的目標は成り立たない。

・経済学者のウィリアム・ボーモルが私的し、今では「ボーモルのコスト病」と呼ばれる現象がある。医療や教育のような労働集約型のサービスは、大半の作業を自動化できる部門に比べると生産性が向上しにくいので、高くつく、というものだ。しかし、わたしたちはこれを恵みと呼ぶべきではないだろうか?技術の進歩に伴って、時間をかけて高齢者や弱者の面倒を見たり、個々人に合った教育をしたりできるようにるのだ。

・必要なのは人生を価値あるものにするための数々の指標を備えた新たな計器盤だ。

 ― バートランド・ラッセル(1872~1970) ―
余暇を賢明に過ごせるというのは、文明が究極まで発展してようやく可能になることだ。

  『隷属なき道』p128~130より引用

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