鳥の目

傲慢に気づかないという不幸

「謝罪の効果」を書いたことで、そこから見えてきたのが「傲慢」というキーワードでした。

傲慢な人は誰もが避けたいし、好きにはなれないタイプの典型です。ところが傲慢な人ほど、自分の傲慢さに気づいていないようなのです。

日本をはじめ、古い慣習の文化が残る国(日本に止まらず韓国においても)では、夫の定年と同時に妻が離婚や卒婚を夫に突きつける、というケースの夫婦が増えているようです。卒婚とは離婚をしないまでも、お互いの自由を尊重し、お互いの時間を犯さない形態をとることで、韓国では、そのための契約書も存在するようです。

傲慢な夫に従い、我慢を続けていた妻が夫の定年後、一日中夫と時間を共にすることには、何が何でも耐えられないということが原因です。

退職したからと言って、妻への支配的行為は変わるものではなく、家にいないことが多かった勤務時代には、生活のために何とか傲慢夫の理不尽な支配に我慢しながら、だまって隷属していたものの、その時間が大幅に増えるとなれば、当然の事ではないかと私も共感します。

自分の何が悪かったのかを気づかないために、晴天の霹靂となった夫は、激怒して離婚を認めないことが多いらしく、そのために賢い女性が離婚ではなく、卒婚という方法をあみ出したということらしいのです。

女はバカだと思い込んでいる傲慢な夫に一撃を喰らわすというわけです。

そうなっても、夫は妻に責任承認を絶対にしません。悪いと思っていないからです。

 何故か?それはそういう類の人の世界は、ヒエラルキー(階層)社会しか知らないからです。

自分より上位には常に忖度し、自分よりも下位の者には自分への忖度を当然と考え、押し付けるのが「傲慢」とは思えないからです。世界はそういうシステムで動いていると信じ、それを受け入れ、そのように人生を歩き、無事に定年を迎えたことそれ自体が社会の成功者と信じて疑わないのです。そうやって家族を守ってきたという自負こそあれ、妻から拒否される筋合いのものでは決してないからなのです。

 このことは現代社会においても、森友学園問題に代表する政界の常識となっています。彼らは常に上か下かが重要な視点なのです。そのために大臣たちは思っていても言うつもりがなかったうっかり失言を発露し、大騒ぎになってしまうという失態を演じてしまい、時にはそれまで積み上げてきた実績を台無しにする結果を招いたという人も少なくありません。

これは日常的忖度という緊張ストレスに起因するものと思われます。

政界だけではなく一般社会においても、このことは慣習化され、それぞれの組織戦士たちは、そこを潜り抜けることが重要なタスクとされています。つまり忖度こそが居場所を失わないスキルともなっているようなのです。それが「KY・空気読めない」という概念に拡張され、コミュ力なる言葉の蔓延につながったと思われます。早く言えば偏見です。傲慢と偏見はセットといえます。
更に支配と隷従関係を心地いいとさ思ってしまう人もあるようです。上位から支配されることで守られ安心するからそのお返しに忖度する、また下位を支配することで守っているという優越感を感じるからでしょうか。

 実はこの構図が、昨今では若者間において「古い世界の概念」をこれまでのようにキャリアとして価値づけないという状況が発生し、世代間の摩擦になっています。
一世代前の若者は「未熟」というレッテルを貼られることに抵抗しながらも、参入した社会のレールに乗ることを自ら受け入れてきました。そのような歴史の繰り返しだったのですが、最近ではそれが繰り返されないような雰囲気になっています。原因はインターネットの世界的普及によるパラダイムシフトが起きているという事実です。

ネット社会が必須の若者たちは、彼ら独自の世界を構築してしまったのです。そこには古い大人たちの居場所はなく、必要性も与えられていません。

これまでのヒエラルキーという階級システムでは、いずれもその内部での個々の組織に属することで居場所を確保し、人生の流れもそこで可能とされていました。

ところがネットのシステムは全く異なるフラットな無限のつながりという世界になったのです。そこでは自己の能力、個性こそがネット内で、いつでも誰とでも自己の選択でつながり、自己の居場所となるという新しい世界なのです。権力も信用もそれほど価値はなく、ダイバーシティーという共感がネットワークとなって拡がっていくという、ダイナミックで、エキサイティングな世界が誕生したのです。

未だにその世界の構図が見えない古い大人たちが、若者に抗って力を見せようとしていますが、若者たちはそんな大人を「大人たちはやがて消える!」と、冷ややかな目で観ています。

劇的に変化している世界を、私達大人はもう少し見極める必要があるようです。

不幸なのは「傲慢」に気づかないことかもしれません。

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