鳥の目

ハラスメントという嫌がらせ

「Me Too」日本上陸? 泣き寝入りはもう嫌⁉

辻元清美氏、蓮舫氏、福島瑞穂氏…野党女性議員が黒服で抗議
「#MeToo」運動にならい

 連日にわたりセクハラ・パワハラの報道が目白押し、賑やかしい限りですね。

日本は特に縦型構造のシステムで社会が成立し、古い世代では当たり前の構図として黙認し続け、更にはその構造に馴染むことこそが“一人前”という常識を強いられてきました。そのために、不条理、理不尽は権力者の特権で、弱い立場の者は、組織内で生き残るにはみな泣き寝入りしかありませんでした。

 一方、観方を変えてみると、このハラスメントは、加害者側に、意図がないことが多く、そこが一番問題です。
今は亡き森繁久弥という大御所俳優は、女性を見れば「1回どう?」が挨拶代わりのようだったそうです。むしろ女性が喜ぶと思っていたようなのです。古い世代の人たちは、もしかしたら、「嫌がらせ」であることを気づいていないのかもしれません。

 「苛め」の加害者にも、被害者ほど切実な問題になっていないことは確かです。権威ある立場や力の強い者は、それを行使することに快感を覚えるでしょうから「お前よりも強いんだぞ!」アピールが乗じてハラスメントに顕現するのでしょう。

 この問題は日本の強固な縦型社会の“元を絶たなきゃダメ!”ということではないでしょうか。組織もピラミッドで構成され、部下と上司という関係性が存在する限り、「偉くなって図に乗る」という図式は改められないでしょう。

 森繁の「1回どう?」は誰にでも声かけられ、「あなたのことが好きです」という恋愛の対象というよりもSEXの対象としてだけの意図が見られ、女性からすれば失礼なことなのですが、言ってる本人は女性を尊重して・・・むしろ言わなきゃ失礼かな?っていう感じだったようです。当時は現在よりも女性の地位が低かったという社会環境にもよるでしょうが・・・

 パワハラについても同じことが言えます。指導者という権威に乗ずれば、「俺様の尊厳に ( おもね )て忖度しなかったり、言うこと聞かなければ、排除だよ!」となります。官僚たちは自分の所属する権威者に 阿る ( おもねる )態度が、忖度というかたちで現れていることを、権力者は認識していないはずはない、それを「関わっていない」と主張すること自体ナンセンス。どんな場合においても権威者は問題の責任をとるべきですね。そういう意味では安倍総理も麻生財務大臣も、全く気付いていない人たちの仲間と言っていいでしょう。
 これまで人間の“一人前”としての成功は「権威」を手にすることでした。そこに向かって大多数の人々が切磋琢磨して、しのぎを削る戦いを続けてきました。念願かなって日本社会の中枢に入り込み、やっと手にした権力なのに、その権力で自爆する人たちが次々とTVを賑わし、若者世代は益々権力へのあこがれが削がれているのかもしれません。

 それもピラミッド型縦社会から横広がりのネット型社会への移行に拍車をかけることになるのかもしれません。

 ジョン・アクトン(アクトン卿)の言葉『権力は腐敗する』を思い出します。

 

 

 

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